植民地時代のオーストラリア
投稿日:2015年3月19日
キャンベラへの旅を控え、オーストラリアの歴史に少し触れてみます。
オーストラリアは、国としては新しい、そして、歴史はたった200年しかない、だから、長い歴史を持つ日本とは対照的だとよく言われます。
しかしながら、実際には、数万年の歴史がある国。世界で最も長い歴史と文化を持つ国。平和に暮らしている民族に、ある日、突然の悲劇が訪れます。
日本では、浅間山の大爆発があり、天明の大飢饉で人々が苦しんでいる頃、既に産業革命が始まっていたイギリスでは、市民階層が明確に別れ始め、富を所有する人としない人の差がとても大きくなってきていました。貧しい人々は、食べるものに困り、盗みが頻繁に起こっていました。罪を犯した人々を収容する場所がなく、イギリスは、アメリカにたくさんの囚人を送っていました。
市民革命が起こり、アメリカが独立すると囚人を送りことができなくなったところに、ちょうど、都合良く「発見」されたのが、Terra Australis Incognitaの実質的な存在です。ある日、シドニー湾にやってきたイギリス人と、それを目撃することになった先住民の人々。その驚きは、想像を絶するものだと思うのですが、ペリーの黒船が来航した時の驚きに似たものかもしれません。
イギリス人がシドニー湾で出会ったのは、ほとんど丸裸、武器を持たない、書物を持たない、国家機構を持たない、法律らしき法律もない、そんな人々を見て、やあ、これは、新しく征服できる土地だ、自分たちのものにしてしまえ、と大英帝国の旗を立て、そこから、この国の歴史が始まった、とするのがヨーロッパから来た人々の見解です。
そして、オーストラリアは今に至っても、国家元首として仰ぐのは、エリザベス女王です。生徒たちにとっては、驚きの事実です。
先住民の多くは殺戮され、ヨーロッパからの伝染病が多数が死に、生き残った人々は邪魔者扱いにされ、土地も精神的土台も奪われ、子どもたちを政策によって拉致してきたことは、わずか200年と言われる国家のあり方に大きな影響を与えています。
そんなことを多少なりとも学んで、明日のシドニー市内での野外研修、そして、キャンベラへの旅にと臨みます。
何本かのフィルムをご紹介します。ご覧になってみてください。
白人の到来により、何が起こったかを簡単に説明しているフィルムです。
Colonial Australia
バックグラウンドの植民地時代のメロディの音楽が郷愁的です。
キャプテンクックが率いる第一艦隊がシドニー湾に上陸し、700人余の囚人と700人余の大英帝国の役人たちというふたつのまったく違うグループの人々がこの地に到着した時の最初の数日の模様、そして、その後に起こったことを現在の歴史家の見解も交えて説明しています。
ひとつの文化が、他の文化/伝統を破壊していく瞬間を記したものです。
First Fleet arrives in 1788
自分たちの民族が何千年、何万年と住んでいた土地で、鉄の武器を持つか持たないかの違いで起こる悲劇。ひとつの文化の運命、そこに住む人々の運命がどのように変わっていくのか、そして、今この瞬間も難民となって苦しんでいる人々がいることを思うと、人間、人類の歴史は、本当に複雑です。