高校を卒業された皆様、ご卒業おめでとうございます。

 12年間の教育課程が終わりました。今、みなさんは、新しいアレナに立とうとしています。

片手に自由を、もう一方の手に責任を持って。

その自由は、すばらしい自由です。自分がしたいこと、自分が学びたいこと、なりたい自分を選択できる自由です。これからは、何を選択するのも自由です。でも、その自由は、責任という代償を伴います。自分の人生を創るという責任です。

 毎日のひとつひとつの行動が、全部選択であり、そして、その選択の積み重ねが人生となっていきます。

 誰もあなたの人生を生きることはできません。あなたにしかできないことです。そして、他の誰とも同じである必要はありません。

 なぜなら、人間は皆違います。どんな人生を創るかは、全部、ひとつひとつの選択、決断、そして、実践から成り立ち、そのひとつひとつの選択がみなそれぞれに違うからです。

 今までは、お父さんお母さんに、学校という組織に、そして、先生方に守られていました。叱られたことがあっても、それは、正しい選択をするための基準をしっかりと教えられていたからです。

 守られた環境から飛び出すことは、解放される自由があるように感じられるかもしれません。新しいアレナに立つときめきと興奮と希望とに満ちている今は、まだそれがどれほどに重い責任を伴うものであるかを感じていないから、きっと余計に。

 やがて、その重みを理解する時が来ます。意外に近いうちに。

 生き甲斐のある、豊かな人生を創り出すために、自分に本当に意味のある選択をしていくことが大事です。拓いていく道は、人が決めるものではなく、自分が選ぶものです。だから、責任も自分にかかってきます。

 時には、人々から理解を得られない道もあるでしょう。世間一般が、それがいいことだ、あるいは、常識、あるいは、当たり前のこと、と信じている道とは違う道を選択することもあるでしょう。

 でも、それが、あなたが信じ、納得し、そして、心から欲するものであれば、それが、あなたの道となります。どんなに苦しいことが途中であっても、そこに燃えるものを感じているのなら、それが、あなたが望む道であり、あなただけにしか歩めない道となります。

 あなたがいつも自分に真剣なら、そして、自分に本当に正直であり続けるのであれば、いつかそこには、あなただから歩めた独自の軌跡が残っていることでしょう。

選択の自由と責任、人生の旅についてくるものです。あなたの人生の旅の良き友となりますよう。

すばらしい時を刻んでいってください。たった一度の人生、思う存分生きた、自分の人生を生きた、と思えるように。