卒業生に贈る言葉
投稿日:2013年11月12日
ICET/DHSの3年プログラムを修了したツカサ君、ツバサ君、シュウヘイ君、ミホさんの4名が、明日、Davidson High Schoolを卒業します。
日本から4名のご家族をお迎えし、今日、祝賀会を催しました。写真は、明日、掲載します。
4名の達成を称え、以下、私からの祝福の言葉です。
人生は、白いキャンバスに自分の絵を描いていくことです。
描く構図、模様、色、造形など小さなモザイクがつながって、全体が壮大なコラージュとなり、その人の人生の物語を作り上げます。
今目の前に見えるコラージュは、2011年の1月、みなさんがICET/DHSに留学して来た時に、想像で描いた絵と似ていますか? おそらく、今目の前に展開しているモザイクひとつひとつが思い出であり、全体として見える絵は、想像を遥かに越えたものだろうと思います。
そのコラージュが、この3年間のあなたのストーリーです。
3年は、過ぎてみれば短いように感じられますが、実際には、少年/少女から大人に移行し、真に自分の道を歩み始めた極めて重要な意味を持つ時間です。
3年前、いろいろなチャレンジを強いられました。それまで知らなかった人々と家族として生活する。言葉の通じないもどかしさ。問われる自分のidentity。日本にいたら、自分は誰なんて考える必要も個人としての自分を見つめる必要もなかったのに。
右を向いても左を向いてもわからないことばかり。
学校に行けば、授業で意見を言いなさい、Discussionに参加しなさい、学習は自分の責任、自主的に勉強しなさい、と言われる。授業は、生徒が作るものだ、と。
<えっ、自分の意見? 何を言えばいいの、それも英語で。勉強は先生が教えてくれるものでしょう? 学校の責任ではないの?>
Critical Thinkingを鍛えよ、問題解決能力を養えよ、Innovation、Creativityを発揮しなさい、と要求される。
<一体何のこと? そんなこと教わっていない、どうすればいいの?>
教わったことを覚えても、使えなければ何の意味もない、使えるようにしなさい。すべては、選択の問題、意識せよ、何を選択するのか。その責任を取るのは自分と言い渡される。
誰も、上げ膳据え膳の面倒はみてくれない。その代わりに、自分でやってみなさい、と投げ返される。
日本でしてきたことにしがみ付くか、それとも、新しい冒険に思い切って飛び込んで自分の世界を広げるかの「選択」を迫られます。
その冒険に飛び込む「選択」をすることが留学した意義・成果となります。
あなたは、その冒険に飛び込みました。しかも、1年では足らず、3年も。
そして、自分の運命を自分で切り拓いていくことの面白さを知りました。
その醍醐味が、自分を生きるということのときめきと情熱です。
自分の可能性を追い求め、自分を開拓していく楽しさを実体験した今、あなたがこれから描く絵は、新たな冒険に満ちた、ダイナミックで流動的で、常に進歩と進化を求める旅の絵となることでしょう。
どんな人生のストーリーを創り出していくのでしょう。本当に楽しみです。
11年生と12年生のESLの授業で、”belonging(属するところ)”を学習しました。一人の人間が、真に、自分の可能性を追求し、思う存分自分を生きるには、それを支える環境が必要です。自分が安全、冒険しても大丈夫、必ず、しっかりと支えてもらえる、失敗しても愛し続けてもらえると感じられることができれば、思い切った跳躍が可能となります。
思い切り、自分を試し、探求し続けることができます。
あなたには、この3年間、属する場所が4つありました。いつも無事と幸せを遠く日本で祈り応援してくださっている日本のご家族。こちらで親代わりでいろいろな面倒を見て、たくさんの愛情を注いでくださったホストファミリー。ICETの生徒たちをとても大事にし、ふたつの全く違った教育システムの移行を可能とするDavidson High School Community。そして、他の3つとしっかりとつながりながら、日々あなたの横に寄り添い、時に後ろで背中を押し、時に前から引張ったICET。
そのどこにおいても、あなたは、安心して、自分の生きる道を探求することができました。当たり前のことのように見えますが、実は、とても幸運なことなのです。ひとつでも居心地良くbelongingできる場所があったら、それだけで人生の豊かさを体験することができます。そんな場所があなたには、4つもあったということは、自分の喜びが人々の喜びになること、そして、人を愛し、愛されることのすばらしさを十分に味わい、その深い喜びで満ちた心をそのまま未来に持って行くことができます。
十代後半を過ごす環境が、その後のその人の生き方の根底を成す「文化」になると言われています。ちょうど、「自分」を確立する時期と重なるからでしょう。オーストラリアという環境の中で、日本とオーストラリアの二本立てで自分の文化を形成してきたあなたは、大きな心と広い視野を持った日本人として、また、地球市民として、自分の世界を広げていくことができます。そこに立ったことに大きな祝福を贈ります。
11月13日からのキャンバスは、まだ真っ白です。思う存分、これが自分!という絵を描いていってください。そのコラージュが、他の誰とも違うあなたの壮大な人生物語になるように。
Thank you for being so beautiful and having shared so much joy and pleasure in the last three years. I am very proud of you and wish that you keep on taking challenges so that you will live your life fully, the life only you can create for yourself.