「環境や思考方法が遺伝子を変える」
投稿日:2014年3月15日
すばらしい本をご紹介します。
東京医科歯科大学名誉教授、藤田紘一郎著「遺伝子も腸の言いなり」です。
私が感想を申し上げるよりも、まずは、皆様にぜひともお読みいただきたい本です。
うん、うん、まさに、と頷くことばかりです。それは、科学者の目からではなく、今まで生きてきた体験からであっても。
以下は、本の内容に関してではなく、そこから私が思ったことですので、本の中にそういうことが書いてあるのではありません(笑)。
この本には、「腹」という言葉ではなく、「腸」が主体となっています。それは、科学的な証明に基づくからです。
日本の文化の中には、「腹」という言葉がたくさんあります。腹が据わる、腹をくくる、腹を決める、腹を割る、腹を痛める、腹がでかい、などなどリストは永遠に続きます。ご家族で、お友達と、どれだけの言い回しがあるか、やってみてください。日本の文化が、「腹」の文化であることは明瞭です。
心は、たくさんのことを感じますが、最終的に、何か大きな判断をしなければならない時、あるいは、決定し実践しなければならない時には、やはり、「腹」です。その結果、どのようなことが起ころうとも、それを受け止めるだけの覚悟があり、最後まで責任を取る覚悟を持つのは、心ではなく、「腹」です。
とても不思議な感覚です。
英語には「ガッツ」という言葉があり、それは、腹を据えた決断、勇気ある実行に対して使われますが、そのガッツという言葉を使って、日本語にある「腹」という言葉を使った多くの表現にびったりと感覚やニュアンスがあう表現がないことを考えると、「腹」の観念は、日本がずっと続けてきた食文化と多いに関係があるのでしょう。土との関係が立たれ、スーパーが食料の供給場所であり、肉がたくさん食に含まれるようになり、家庭で愛をこめて作られた食事よりもファーストフードを好み、食事の簡素化に伴って、その上に、できるだけころばない道が用意され、人生体験は学校の学習と点数に的が絞られ、いくらでも失敗が許されたおおらかさとでっかさが失われ、形から外れることを恐れるために冒険ができなくなってきている昨今、生活の中に「腹」を使った重みを持つ判断ではなく、好き、きらい、快適、快適ではない、という「責任」を伴わなくていい判断方法でしか自分の人生を作っていく術がない若者たちが多くなっていることは、否めない事実です。
それゆえに、一端挫折すると、そこからなかなか抜け出せない若者や青年が多くなってきていることは、日本社会の悲劇です。
一方、その極を行くような、15、16歳で外国に飛び出すガッツを持った子どもたちは、新しい冒険に逸る気持ちと同時に、何にでも挑戦し、どんな 困難に耐えると腹をくくってきています。
困難が無いはずがありません。それでもがんばるのは、やはり、腹を据えているからです。そして、自分の人生は自分で拓く責任を自分に課しているからです。
お父さん、お母さんからいただいた大事な命。自分の力で自分を創ることができる環境にある、それがどんなにすばらしいことか。
心で感じるだけでなく、「腹」で考え、行動しましょう。