二重、三重の成長

投稿日:2014年5月19日

3Lの生徒の皆さんへ

 日本に戻ってちょうど半年ですね。

 この半年の間に、皆さんの脳裏や心の中で交錯したことは、おそらく、帰国当時には、皆さん自身想像もしなかったものだろうと思います。

 それを通る本人にしかわからないし、そして、感じることもお友達それぞれによって大きく異なりましょう。その違う部分は、性格から来るもの、留学での体験の中身から来るもの、得た成果から来るもの、未来に求めているものから来るものと、様々だろうと思います。

 個々による違いはあるにせよ、共通していることがあります。それは、誰にとっても、1年かけてようやく慣れた別の世界を去り、再び、日本の社会、文化に同化する過程を通り、そこで再び自分の活躍場所を見付けるということです。

 これを比較的簡単にできる人もいます。難しいと感じる人もいます。

 難しい故に自分を見つめることを避ける人もいれば、過去にふたをしてしまう人もいます。去年と今年のギャップに対処しきれずに、自分の殻に閉じこもってしまう人もいます。

 すべきことに対処することで乗り越えていく方法を選ぶ人もいます。目標を設定することで、次のステップに体当たりしていく人もいます。

 そのどれも、自分が現実に遭遇する環境から自分を防御し、それに対処し、そして、それを乗り越えてさらに大きな世界に出ていくための過程と方法です。

 留学に出てきた時もそうでしたね。想像をしていたことや期待していたこととは全く異なることや想像さえしていなかったことに遭遇し、日本に帰りたくなったことも、耐えに耐えなければならなかったこともたくさんありましたね。

 でも、それをみんな乗り越え、たくさんのことを学び、大きくなって帰国しました。

どうして乗り越えることができたのか? それは、自分が置かれた環境と向き合い、その中の一部になろうとしたからです。つまり、与えられた環境の中に、自分の居場所を築き、環境を自分の成長のために上手に使うことができたからです。

環境の流れに自分を任せたとも言えます。

毎年のことですが、12月にシドニーを去った時の表情と、5月に出会う表情は、別人のように違います。感じられるエネルギーも違います。12月には弾けるエネルギーがありました。5月には、とても落ち着いた静かなエネルギーに変わっています。

毎年、同じことが起こります。

それは、日本の文化に再び同化しようと努力している結果です。この努力は、留学に行ってあちらの文化に同化しようとする努力とは比較にならないほどに大きな苦しいものであると思います。留学に行くことは、比較的たやすいのです。違う世界に行くとわかっているから。

でも、日本に戻ることは、遥かに難しいのです。なぜなら、あなたたちが、とてつもない規模で成長しているから。そして、その成長は、通常、数値で現れるものでしか理解してもらえないから。

しかも、その成長は、はじけたままでは、日本社会に受け入れてもらうことはできず、その成長の上に、さらに、別の成長 ー 世界に羽ばたこうとしている自分の志や奥に燃える闘志を縮小してしまわず、オーストラリアの1年で蓄えたものを活かしながらも日本の社会に再び自分を同調させるという至難のバランスを掴むこと ー でさらに自分を大きくすることができます。

留学は帰国で終わるのでなく、帰国でその集大成ができる、というのは、その意味です。

でも、理屈で理解するのと、実際の感情を伴ってその過程を通るのでは、大違いです。毎日の苦労と直面し、それを克服しようとすることが、自分の成長の糧となるもの、そして、さらに自分を豊かなものにするだと思って、しっかりと向かい合ってください。

過去は、振り返れば振り返るほど、美化されたものになるかもしれません。でも、それに溺れ、現実と取っ組み合いの試合をしないと、頼もしい未来はやってきません。

16歳の1年は、自分の人生から決してなくなるものではありません。なくならないようにとそこにしがみついて現実を無視するのではなく、現実をしっかと受け止め、そこで活用できる糧とすることが大事です。

3Lの生徒たちには、実際に出会うことができたので、直接に言葉を交わすことができましたが、このメッセージは、ミフユさん、ジュナさん、サエさん、リサさん、ナオキ君、ヒロアキ君にも贈るものです。

ある先生がこのようにおっしゃっていました。

「1年間留学した生徒たちは、(していない生徒たちと比して)、全く違う生き方や考え方を持っている。すばらしいよね」と。

去年の1年が、未来のすばらしい糧となるよう、今年、また1年、精一杯がんばってください。遠くからたくさんの声援を送っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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