安倍総理の訪豪
投稿日:2014年7月8日
安倍総理が、昨日の午後からキャンベラを訪問されています。
今日の午前中に、与党のリベラルと野党の労働党の議員全員が揃った国会議事堂で、英語でのスピーチがありました。
全文を聞きたかったのですが、そういう時に限り、緊急の用事が入るもので、最後のほうしか聞けなかったですが、全体の雰囲気は、とても友好的な雰囲気で、笑いがあったり、ジョークが入ったり、言葉の綾があったり、その後のメディアのコメントも好意的に報じられています。
http://www.abc.net.au/news/2014-07-08/australia2c-japan-to-sign-economic-partnership-agreement/5580738
日本の政治家が国会でスピーチするのは、初めてのものです。第二次大戦のことを考えれば、当然のことであり、歴史的なスピーチが好意的に受け止められたことは、過去70年余の両国の絆を深めるための努力が実っていることを示しています。
ICETに留学してきた生徒たちは、4月のANZAC Dayの前後に、日豪史を学習し、過去の、そして、現在についていろいろ考えます。日本とオーストラリアの間に戦争があったことを、ほとんどの生徒は知らずに来ますので、本当に驚きとして受け止めます。そして、戦争捕虜のことなどを学べば学ぶほどに、この国で大事にされる自分たちの時代と立場に大きな感謝を持ちつようになります。
戦後の日豪関係は、すばらしい発展を見せ、それぞれの国にとっての存在は欠かせないものとなっています。
安倍氏は、戦争で多くのオーストラリア人の若い命の未来を奪ってしまったことと詫び、地域の平和と安定に尽くすこと、そして、東北大震災の際のオーストラリアからの援助にお礼を述べ、最後に、東京オリンピックで活躍したドーン フレーザーを”You are Ausralia for me.” と称え、日豪の関係は、新しいドーン(暁)を迎えている、とスピーチを結びました。
「オーストラリアの若者をたくさん日本に送ってください、日本からもたくさん若者を送ります」という言葉もありました。
4月のアボット首相の訪日に応えての今回の安倍氏の訪豪の目的は、日本との安全保障上の条約を結ぶ事、そして、7年間にわたる自由貿易協定の最後の締め、締結に署名することです。日本には、肉や酪農製品、ワインなどが輸出されます。日本からは、電化製品、車などが輸入されることになりますが、その具体的な内容はまだ明らかにされていないということです。
先週、集団自衛権行使の憲法解釈を変えたばかりの日本、オーストラリアは、アメリカの軍事援助ができる関係となる日本を歓迎するものの、中国とも極めて近い関係にあるオーストラリアは、日本と安全保障上の条約を締結することに関しては、薄氷を踏む状態です。何度も、日本との提携は、他のどこの国に対してでのものではなく、オーストラリアは、どこの国とも食料や平和を供給する国である、ということをアボット首相は、強調していました。
「第二次大戦後の日本は、世界の平和国家の模範である」と。その模範国家を模範国家のまま、どこの国とも平和を保つことができる国で留めておきたいという多くの日本国民の願いは、風前の灯と化しつつあります。
どこの国とも友達でありたい。その選択ができるのに。。。。