卒業生からの便り
投稿日:2014年10月2日
このブログでは、卒業生の様子を折があるごとにご紹介しています。
生き方は、それぞれに、当然のことながら、違います。関心を持っていることも違います。選択することも、その方法も違います。でも、それぞれが美しいのです。
なぜ美しいかというと、「本気」だからです。
自分を追求することに、学問を求めることに、生き方を模索することに。。。
そんな「本気さ」が綴られています。
以下、去年12月にDHSを卒業したツバサ君の近況です。
My experience during this summer vacation was tremendous. I have been to Oxford in England. I think every scholars have at least once heard of the name of that city and what is there. It was my first time to visit England and even Europe. The purpose of my visit, this very first time, was not sightseeing but learning.
私の今年の夏の休暇はすばらしいものでした。英国のオックスフォードという土地を訪れました。学問に身を置くものであれば一度はその街の名前やそこに何が在るのかを聞いたことがあるでしょう。英国、ヨーロッパを訪れることは私にとって始めての体験でした。今回の目的は観光ではなく学びでした。
Currently, I’m studying in the unique environment in which I can learn some foreign subjects in addition to English, with which I can gain certain amount of units of the universities in the United States. Despite the heavy amount of homework given every single day, my GPA was 4.0 and I was content with my score, yet I was feeling I can do something more. I was desiring. I was truly thirsty for more learning and that thirst led me to Oxford during this summer.
現在、私は英語に加えてアメリカの大学の単位を取得できるいくつかの科目を修得できる日本では風変わりな学校に在籍しています。毎日課される宿題に寝る時間も勉強する時間もありませんでしたが、前期はパーフェクトスコアを成績に修めることができ、自身でとても満足していました。しかし、その満足の上にはまだ余裕が残っていました。その余裕は私の中により多くの学び、より高い質の学びへの飢えを生み、この夏のオックスフォード大学での学びへと導きました。
The university was offering various kinds of learning every summer. It was an instantaneous decision since I have been long interested in the act of thinking. The course I have chosen to study in the University of Oxford was the academic course named “The Interface between Religion, Science and Philosophy”.
毎年、多くの語学や専門コースを提供しているオックスフォードですが、考えることに大きな魅力を感じていた私は「宗教、科学、哲学の境界」という専門コースに即決しました。
In the beginning of the course, we had three students including me; however, two days after, I became only the student left with my professor in the course. Although the Australian elderly who was once a doctor and the French trilingual simultaneous interpreter of French, English, and Spanish left the course, somehow this young man stayed.
他のアカデミックコースは6人程度生徒がいた中、このコースは3人の生徒と1人の教授で始まりました。そして二日後には私と教授二人きりになりました。元医者のオーストラリアからのご老人とフランス出身のフランス語、英語、スペイン語の3カ国語同時通訳者がコースを離れたにも関わらず、不思議なことに日本からの若者が教授と2人コースに残りました。
‘Intense’ is the best word to describe this experience for only two weeks and the word even my professor has mentioned. Everyday, both of us enjoyed learning, teaching, and discussing until my brain stops working. Our lecture took place sometime at the terrace, sometime at the pub, and mostly in the college. Everyday, I lectured my friends, whose age ranged from 19 to over 70, about what I have learnt each day. Everyone was jealous, even the actual students of the university were.
「強烈である」という言葉は私の滞在を表すのに最適な言葉であり、教授自身も2週間の授業をそう表していました。私たちは学ぶこと、教えること、物事を吟味すること純粋に楽しみました。講義は普段教室で行われますが、講義が一対一で行われ、それに必要なものがペンとノートと考えるための脳だけなので、眺めの良い屋上や酒屋で行われることもありました。その日に学んだことを他のコースの老若男女の友人に教えることが私の毎日の日課でした。彼らだけでなく、大学の在校生もこのコースに大変魅力を感じていました。
As usual, literally I did not sleep much during my stay in that time was limited and I had no time to waste; therefore, I did my pre-reading, rewriting of notes from lecture, and homework while it was dark and quiet and I had the lecture, touring, and socialising with friends with full of life experiences from all over the world at daytime. I, in fact, quite enjoyed the life in super environment. Fulfilment was clearly met with my desire after coming back in Japan. Simultaneously, the experience eventually broaden the world I have not yet explored: widen the space unknown in my life. I can now tell that I am more thirsty and this has no end in the end.
時間が非常に限られていたため、日が昇る前は抗議の予習やノートテイキング、宿題等を済ませ、日中は講義に加え世界各国から集まった友人達と多くのことについて話し合いました。寝る時間はありませんでしたが、そのような素晴らしい環境に身をおけることを幸せに感じました。帰国後、私の新しい知識や経験に対する飢えは満たされましたが、同時に自身がまだ触れたことのない「世界」、未知の空間を大きく広げることになりました。一つ言えることは、この経験は前より多くの終わりのない、満たされることのない渇望を生み出したということです。
I have now added another unforgettable memory which none can know in me. Not only I thank those people who has involved me for this extraordinary experience, but I also thank those for my ability to understand, to think and to feel in this world, especially my mother and father.
これを通じ、自身以外、真に知りうることの出来ない大切な思い出ができました。この経験までの道のりに私に手を貸してくださった方々だけでなく、私がこの世界で理解をし、考え、そして感じることが出来るようになるまでの道のりに手を差し伸べてくださった方々、そして母と父に感謝します。
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以上、ツバサ君のOxfordでの体験、そして、それにまつわる彼の心境です。
ここに至ったのは、それまでの彼の本気での様々な模索があり、葛藤があり、紆余曲折があり、バトルがあり、絶望的に見えることがあり、でも、それを乗り越える強靭な精神があり、学問への「満たされることのない渇望」を追い続けてきたからです。
そんな彼の希求の実現を援護射撃しているのは、彼の能力や努力もさることながら、ご両親の変わらぬ後押しとその根源にある愛情であり、彼を信じる人々の愛であり、そして、学ぶことの楽しさを見つけ、極めて高度な英語力を養う機会を高校時代に得たことです。
彼が世界に向けて、そして、未来に向けて、授けられた名前のごとく、思い切り翼を広げ始めたことを心から嬉しく思います。
2014年10月2日
皆様、本当にありがとうございます。
なんだか夢のようなお話で自分の息子の話だとは実感できませんが、
今まで息子に関わってくださったすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
中学校までサッカー少年で毎日真っ黒に日焼けしていた息子が、私たちの想像をはるかに超える成長を遂げています。
岡山学芸館高校、ICET、デビッドソン高校、すべての仲間の皆様に感謝するばかりです。
そして、翼君、体に気をつけて、夢に向かってがんばってくださいね。
2014年10月3日
子どもが夢に向かって進み、ひとつひとつ望みを叶えて行く瞬間は、親にとっては最高の喜びとなることだと思います。
直結でそこに至ることもあれば、紆余曲折することもあり、時には、社会の、これがいい、これが望ましい、こうあるべきという「既成観念」や「既成の価値観」からは、遠くかけ離れることもあります。
留学のひとつの大きな成果は、既成のものに人生を規定されるのではなく、あえて自分の道を選ぶために挑戦を重ねる勇気と強さを得ることです。それは、まったく別のものが別の視界に見えるようになるからでしょう。
それは、親にとっては、ある意味では怖いことでもあります。先の「保証」がないだけに、あまりにも未知であるために、そんな道を歩ませてもいいのだろうか、と。
それが、良かった、だから、この結果があるのだと短時間で見えてくることもあれば、何年もかかることもありましょう。
でも、子どもの望みを叶えてやりたいと思うだけではなく、未知の世界に向かって歩む子どもに信頼を預け、その本気さを信じる勇気を託することがをことができるのは、親だからこそですよね。
だからこそ、自他共に喜べる結果を見る時には、最高の喜びとなるのでしょう。人生は、そんなことの繰り返しなのかもしれません。求めるものが強ければ強いほど、そして、大きければ大きいほどに。