復興に向けて
投稿日:2011年4月3日
東日本大震災の被害の詳細が日々明らかになってきます。
地震と津波による直接の被害はあまりにも大きく、未だに、全容はわかっていません。届け出られているだけで1万6千人がまだ行方不明です。
人的被害、被災者の心身の負担、支援者の心身の負担、日本国民全員が背負う痛み、住居などの家屋の喪失、学校など公共の場所の喪失、工場など産業の喪失とそれに続く日本全体や世界の産業に及ぼす二次災害などなど、被害がどこまで広がるのか、実際のところ推測は極めて難しいのではないでしょうか。
未来に向けて立ち向かう挑戦があまりにも過酷で非情であっても、人々が力を合わせることによって、人間は困難を克服する力を奮い立たせることができます。いろいろな国で、いろいろな時代に、歴史がそれを証明しています。
しかしながら、今回、そこに大きく立ちはだかっているのが、原発の事故という未来に大きくのしかかる恐怖です。
1945年、人々はその威力を知りませんでした。あとになってそれがどれほど恐ろしいものであるかがわかり、その後遺症は、日本人のその後の社会サイキに様々に影響し、被爆された人々の身体にずっと異変を起こし続けています。
それだけに、原発の事故が人々に与える恐怖は深刻です。ただ、現状が正当に恐れるべき状態なのか、それとも、必要以上の恐怖にかられているだけなのか、その判断が明確にできないことがさらに不安を高めているのかもしれません。毎日のニュースは、今のところ不安を裏付けするものであり、安全を確保できるまでには、まだ時間がかかりそうです。
いずれにしても、今の状態が、日本社会全体に与える人的、経済的な影響は計り知れません。
その一方で、日本全国が、助け合おう、一緒に復興していこうという動きを強烈に推し進めていることは、本当にすばらしいことで、その感動は、人々の心を大きく動かすものです。世界中から復興への応援、支援が寄せられていることは、今まで世界の国々を支援してきた日本にとっては強いつながりを改めて感じさせてくれるものです。
その中で、誰の中にも共通に見えることは、今、自分にできることは何か、ということを問うていることです。この姿勢は、このような巨大な挑戦がなければ、誰もがこれだけ真剣に考えることがなかったことかもしれません。
私利を投げ捨て、普段の仕事を放り、ボランティア活動に従事している人。会社や機関のシステムを活用して被災地に物を輸送する人。募金活動に時間を充てる人。普段の食費を半分に切り詰めその分義捐金にまわしている人。家じゅうの電気を節約する方法を考えている人。家を被災者に提供する人。それぞれの立場で、みな、できることを必死に考え、実践しています。
お会いするみなさん一様に、日本中の心がひとつにつながっていることを感じる、とおっしゃいます。
留学中の生徒の皆さんにとって今できること、それは、自分が日本の未来を背負う人間であることを自覚し、その時に備えて、今、大きな力を蓄えておくことです。実践的な英語力、体力、精神力、挑戦に臨む心、新しい時代を切り開く発想の豊かさ、可能性への挑戦、日本と世界を結ぶネットワークとコミュニケーション能力、そして、何よりも未来を創りだす大きな希望と志です。
そのためには、100%オーストラリアの生活に、オーストラリアの人々との交流に自分の身を置き、一生懸命に学習することです。
オーストラリアでできるVolunteer Activitiesに大いに参加することです。その精神が、外国の人々から日本に舞い戻ってきます
私にできること、それは、みなさんがそれに専念できるよう、できるだけの応援を出すことです。
復興には、長い時間がかかります。みなさんは、その復興の中心となる人々です。
特殊な技術、能力を留学で身に着けるみなさんの将来の活躍の場は大きく広がると同時に、未来の社会や世界に貢献する度合いも大きいものとなるでしょう。
大きな使命を背負って、留学生活を充実したものにしてください。