Sovereign Hill
投稿日:2011年6月9日
バララットの市街地から少し外れたところに、Sovereign Hill(ソベラン・ヒル)という場所があります。
マキロップの卒業生の中の読んでくださっている方があれば、この名前とそこでの思い出をとても懐かしく感じることでしょう。
ここは、1851年に金鉱が発見され、一攫千金をめざす何千人という人々が世界の各地から押し寄せてきた当時の様子を観光用に復元した場所です。過去の資料を元に、釘の形に至るまで、できるだけ正確に造り上げたということです。
鉱夫たちが住んでいた帆布で作ったテント小屋やユーカリの樹皮で作った小屋が立ち並んでいます。そのそばに小川が流れていて、そこでは砂金が取れます。これは、上流ですでに機械で大きな岩の塊から金を抽出するために使った水を流しているので、そこに、小さな金のかけらがまだ混じっています。
ここにある鉱山の地下では、69kgの金塊が見つかったということです。その金塊を見つけた22人の鉱夫たちは、雇い主から1万ポンドをもらって山分けしたとのこと。当時は、80ポンドで家が建ったということですので、相当な金額だったに違いありません。
雇い主がどれほどの金額を得たのかはわかりませんが、その金塊は、本国大英帝国に送られ、溶かされてしまったということです。
でも、そんな金塊が見つかるのであれば、ゴールドラッシュになるわけです。
砂金探しに挑戦した5人。簡単にいくつも見つけた人、なかなか見つからなかった人。でも、最終的にはみな見つけることができて、大喜びでした。
あとで、その砂金が、どれほどの価値もないことを知って、ガックリ。でも、特別な思い出ができたことでしょう。
人間は、なぜ、金属に独自の価値を与えたのか、とても不思議です。ダイアモンドにしても金にしても、人間が価値を付けた故に、それを追い求め、多くの物語が生まれ、多くの戦いが起り、多くの悲劇が生まれました。
ここ、バララットでも悲劇が起りました。労働者の22名が殺された事件です。
夕刻に、光と音をふんだんに使って、その歴史の一場面を再現したショーを見ました。Eureka Stockade (ユーレカの柵囲)という名前で知られる、労働者が権利を主張して起こした抵抗運動です。新しい概念を社会に生んだという点では、規模は小さくても、権利と平等、そして、自由を求めたフランス革命と同じです。
この時に、一連の運動を主導したPeter Lalor(レイラー)は、後に、国会の議員になっています。そのLalor氏を演じた役者が、お芝居の最後に言っていました。
「われわれは、自由と平等を求めて行動を起こした。現在、私たちは、その自由と平等があることがあまりにも当たり前になってしまっていて、そのありがたさを忘れてしまっている。その大切さを改めて認識すべきだ。」
迷走する政治家たちに聞かせたい言葉でした。