The Grampians

投稿日:2011年6月14日

グランピアンズの一角。写真はウエッブサイトから拝借。

 少し、間が開きましたが、先日のバララットへの旅の最後の日に、時間を少し戻します。

 The Grampians(グランピアンズ)という国立公園があります。168,000ヘクタールという広さが日本地図と比較するとどれくらいに相当するのかわかりませんが、ビクトリア州の地図で大きな面積を占めています。

 グランピアンズは、分水嶺の南端にあり、極めて印象的な岩山が続くところです。かつて2000/2001年にICETのプログラムがWarrnambool(ワーナンブール)という南氷洋に面した町にもあった時には、この道をよく通ったものでした。私にとっては、たくさんの生徒たちとの思い出が詰まったとてもなつかしい風景です。

 今年1月の半ば、12年生になって帰国することなくオーストラリアでがんばっていた生徒たち数名と約1週間の旅を計画しました。ちょうど、スワンヒルのコネランさんのお家でお世話になっているサキさんをピックして、このグランピアンズを通り、南氷洋沿いの海外をまわってシドニーに戻ってくる、というものでした。

洪水の爪あと。この写真もウエブから借用。

 スワンヒルに滞在し、明日グランピアンズに向かうという時に、大雨となりました。そして、通行止めになり、シドニーから既に1000キロも出ているところで、予定変更を余儀なくされたのですが、今年、スワンヒルにいる生徒たちには、ぜひとも見て欲しい場所のひとつだったので、Ballaratからの帰り道は、ここを通ることにしました。

 半年経った今も、まだ、観光用ルートは閉鎖されていました。それでも、環境局の係りの方の熱心な説明で、幹線と回り道との組み合わせで、国立公園の中心となっているHalls Gap(ホールズ・ギャップ)という集落にはたどり着くことができました。

 途中、カンガルーの群れに出会って、みな、興奮ぎみ。中には、お腹にジョイ(赤ちゃんカンガルー)を抱えているものもいました。

 アボリジナル文化センターがあり、そこでは、Dream timesと呼ばれる彼らの世界観をわかりやすい映像で見ることができました。文字を発達させず、自然と同化した状況で生活していたために、そして、ほぼ裸で生活していたために、植民するためにやってきた白人に完全に存在価値を抹殺された人々です。

 彼らの文化がどれほどに豊かなものであったかは、まったく伝わることなく、近年になって、ようやく伝承されているものを絵にしたり、文章にしたりする試みがなされてきていますが、後世に伝えられているものは、ごくわずかです。

 アボリジナルの絵。

図のひとつひとつの意味がある

 アボリジナルの人々の絵は、点で形を作るのですが、その形のひとつひとつに意味があります。エスキモーの言語に「雪」や「氷」の状態を表す言葉がたくさんあるように、アボリジナル文化にもカンガルーをはじめ動物や自然界の状態を具体的に表す記号が特に多く、一見単純に見える絵の中に、深い意味合いがこめられています。

 岩や動物のすべてにその創造の過程の話しがあり、そのひとつひとつに生命が宿るアボリジナルの人々の自然界の話は、「人間が生産した物」が存在しない世界で暮らしていた彼らの純粋な精神活動を彷彿させるものです。

 5名の生徒たちもたくさんの質問をぶつけ、関心を示していました。

 途中で、滝を観るために、片道2キロくらいの山道を往復しました。滝そのものは、期待に反してチョロチョロの流れしかなく、ちょっと残念だったのですが、でも、葉のすれる音やいろいろな鳥の鳴き声に耳を傾け、紅葉の様々な色に目を奪われる楽しい時間でした。

 お腹がすいたところで、前夜みんなで作ったお弁当。

 そのへんから、雨が、ポツポツ。出発前は、「週末は雨」という予想に反して、3日間、ずっとお天気に恵まれました。ちょうど、帰路につく頃だったので、一路、スワンヒルに向けてドライブ。

 7時前には、全員、それぞれのお家に戻り、今回の旅はおしまいとなりました。

 

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