石巻市での体験
投稿日:2011年6月29日
去年ICETの3年プログラムを卒業し、現在Macquarie大学に在学しているアサヒ君から便りがありました。
「6月9日から21日にかけて、宮城県の石巻市という所にPEACEBOATという団体を通してボランティアで訪れました。
この市は、被災地の中でも最も被害が大きく、約3000人もの方が命を落とし、未だ約2700人もの方が行方不!明です。
私が行った活動は家の片付けでした。2日間の間に班の人達と協力し、やれるだけの事をやりきる事が出来ました。
PEACEBOATの主な活動は、家の片付け、ダニの駆除、炊き出しなどですが、実際は、その時その時に被災者の方々から受けた依頼を決行するというのが目的です。
実際に現場に行ってみると、メディアを通して見るように、本当に悲惨な状態でした。それに加え、現場ではヘドロなどの悪臭や埃にも悩まされています。自分達が宿泊していた施設の周りの家々は、班のメンバーが確認した限りでは二軒しか灯がついていませんでした。
それにもかかわらず、近頃は人々を励ますためか、復興のニュースばかりです。このような現状が3ヶ月経った今もなお実在しているのに、人々は危機感を感じる所か、安心感ばかりを求めているような気がします。
PEACEBOATで長く活動している方から大切な事を伝えるよう言われました。それは、ボランティアの数は全く足りていない、という事です。
自分の経験からもわかるように、私達は7人のグループで1軒の家の片付けをするのに2日間かかりました。この市だけでも何千世帯もあるのに、このペースでは、完全に復興するのは、果てしなく遠いだろうと思います。だから、もし、少しでも時間があるのなら、是非、現場に行ってあげてください。同じ日本で苦しんでいる人々がいるのだから助けに行ってあげてください。
リンクを載せて置きますので、宜しければ目を通してください。もし何か、このボランティアに関して質問等があれば聞いてください。」
というものでした。以下は、アサヒ君の便りを私のブログに掲載してもいいかどうかというリクエストに対してです。
「ぜひ、お願いします。それでもし、一人でも多くの方が被災地に行って頂けるのであれば光栄です。
ボランティアに行って素晴らしい体験と、たくさんの事を学びました。そして、被災者の方とは直接お話は出来なかったのですが、被災地の苦しみと悲しみに触れられる事が出来ました。
僕が出来る残りのボランティアは、少しでも多くの人々に広め、どんな感情でも構わないから、被災地の事を思って頂く事です。
Peaceboatのインストラクターがおっしゃっていました。現地で僕たちに出来るボランティアは二つ。復興作業を手伝う事と、被災者の方のお話を聞いてあげる事だそうです。
話を聞いてあげる事によって、痛みを共感し、和らげてあげられるそうです。
僕は今回、この事が出来なかったので、それをされる予定の房枝先生が羨ましい限りです。
宜しければ、またお話をお聞き出来れば嬉しいです。
僕も、本当に行ってきてよかったと誇りに思います。父のアドバイスで行く事になったので、父にも感謝しています。
今回、ボランティアの素晴らしさに気付かされました。ボランティアは無償で働く事に意義があるので、少し怠けても、誰も咎めません。それに、大変な作業なので、誰もが怠けたいと思うはずです。しかし、少なくとも僕の班のメンバーは誰一人怠けようとせず、お互い助け合って、素晴らしい結果を残す事が出来ました。皆が、「短い期間なんだから、少しでも多くの事をしてあげよう。」という暖かい気持ちで頑張る事が出来ました。
42歳の二児のお母さんがいて、体力も少ないはずなのに、文句一つ言わず、皆が避けるようなトイレなどの掃除を「こういった細かい作業しか出来ないから。」と笑顔で言って作業していた時には涙が出そうになりました。
これを機に、Peaceboatで行われている世界一周旅行をGap Yearでもとってボランティアをしながら(しなくても参加は可能)してみようかと思います。」 by Asahi
以上、アサヒ君からの便りでした。体験してこそわかることが人生にはたくさんあるのでしょうね。アサヒ君のこの体験は、今後の彼の生き方に大きく影響してくることでしょう。
ICETの卒業生から彼に続く人たちが出てくるといいですね。