Gosford HS

投稿日:2011年8月12日

 シドニーから70kmほど離れたところに、Gosford(ゴスフォード)という町があります。

 私の住んでいるところから船で行けば、直線距離で10kmもありません。道路だと湾をひとまわりするので、交通渋滞がなくて、1時間半の道のりです。

 ここにGosford HSという学校があります。オーストラリアは、普通は、公立・州立の学校には、試験がありません。居住区域にいる生徒は、誰でも入学できます。でも、公立校の中に、Selectiveと呼ばれる学校があります。日本のように試験があり、特定の結果を出さないと入学できません。

 Gosford HSは、selectiveの学校なのですが、以前から人気があり、シドニー市内から電車で1時間以上かけて通う生徒も稀ではありません。

 このGHSは、岡山学芸館高等学校と姉妹校締結を結んでいます。2000年くらいまでは、行き来が頻繁にありました。オーストラリアの学校制度に、10年生の短・中期留学が可能な制度があったからです。また、日本からも、中学生の短期研修のニーズがありました。だんだんに双方からの需要が減少し、交流が減ってきています。

 でも、時々、日本に行きたいという生徒が出てきます。今年の11月半ばから1ヶ月ほど岡山学芸館高等学校に留学したいという生徒たちと保護者の方々に説明に行ってきました。

 その際に、先生が、「これを送る場所を探して欲しい」と、大きな袋から取り出したものがありました。「お金なら受けるけれど、品物はダメと言われて、送り先がない。」とのこと。

 ニットの毛布や帽子やセーターでした。

出てくる、出てくる、合計100点以上あるということでした。

 震災以後、生徒が集まって、休み時間やランチタイム、そして、放課後と編み続けてきたものなのだそうです。

 猛暑の今の日本では、縁遠いものかもしれませんが、秋になり、冬になっていく時に、オーストラリアの高校生が一生懸命編んだ毛布にくるまれたら、本当に温かさを感じることができるでしょう。

 これをひとつひとつビニール袋に入れ、編んだ生徒の写真とメッセージが入るとのこと。送料は学校が持つので、送り先だけを探して欲しい、ということでした。

 このブログを読んでくださっている方の中に、ここがいいのでは、とお心当たりがおありの方は、ぜひ、ご一報ください。

 ジュディ先生がおもしろいことを言われていました。

 「日本語学習熱は、ここ何年も下がりっ放しなのに、皮肉なことに、震災があってから、日本語をやりたい、日本のことを知りたいという生徒が増えてきた」というのです。

 先日、一人が数カ国話すのは珍しくないヨーロッパで、外国語を学習する学生数が極減している、増えているのは、マンダリンだけだという記事を先日読んだばかりだったので、そのお話をしました。

 「オーストラリアでも同じ。言語学習は、地道に積み重ねないとできない。今の若者は、PCですぐに情報を得ることに慣れているので、地道に積み上げるというような学習スタイルは好まない。」というコメントが戻ってきました。

 英語さえ通じれば事欠かないような世界になってきているので、文化を包括する言語を学ぶことの意味が薄れてきてしまっているのかもしれません。

 

“Gosford HS” へのコメント2件)

  • 房枝先生、お久しぶりです。
    私もお世話になったGosford HSでこのような動きがあったこと、とても感激しているとともに、感謝の気持ちでいっぱいです。ジュディ先生もお元気そうで何よりです。
    現在、私の通う大学と、秋田の大学生で被災地(特に気仙沼)の支援と東北の経済支援の活動があります。そこに、受け入れ先がないか問い合わせてみますね。

    返信
    • 夕香理さんへ
      日本に戻ってきたのですね。イギリスでの生活、すばらしい体験をたくさん積んできたことを想像します。ぜひ、尋ねてみてください。作品の展示が翌日にあったということです。Judy先生がなんとしてでも、生徒たちの気持ちをrugsに乗せて、日本に届けたい、というお気持ちでいらっしゃいます。あなたが、こうして動いてくださることを知られたら、Judy先生は、とても喜んでくださることでしょう。

      返信

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