Farewell Mr. Cawsey

投稿日:2011年8月21日

今日のアセンブリーの主役は校長先生

 8月19日、DHSの校長先生Mr. Cawsey (コージー) が退任されました。

 あるICETの生徒が、「なぜ、12月ではなく年度途中などという微妙な時期の8月に?」と質問しました。  

 日本では、年度の途中に校長先生が去るということは、よほど特殊な場合に限られるでしょうから、不思議に思うのもムリありません。

 NSW州の公立校は、60歳が定年です。60歳になると、その直後の区切りのいいところで定年退職になります。年度というシステムではなく、その人が特定の年齢になったら、という観念は、幼稚園や小学校にあがるときにもあります。

 日本だったら、幼稚園にも小学校にも入学式があり、早生まれの生徒も入学式の時期に合わせて入学します。NSW州では、年度の初めが1月なので、その年に学校にあがる生徒は全員揃って始めるものだと、かつて私は思ったものです。

 ところが、そうではないのです。小学校の幼稚部なら4歳9ヶ月、小学校の1年生なら5歳9ヶ月になったら学校に行くという慣例があって、その年齢になるまで入学を待ち、年齢に達したら、バラバラと学校に通い始めるのです。なんとも不思議なシステムです。

 それが、先生たちの退職にも同じことが起るというのがおもしろいです。いつどこからどのように始まった習慣かわかりませんが、調べてみたらおもしろそうです。

 年度の途中ならば、業務に支障が起こるのではないかと思いきや、どうも、そうではなさそうです。きちんと、代わる人が配置されています。他の学校の例を見ても。そして、DHSでは、Ms. Andersonという女性の教頭先生が年度末まで校長代理を勤められます。ベテラン中のベテランの先生であり、Mr. Cawsey同様、日本大好き、ICET大好きの先生です。

 Mr. Cawseyは、教頭、校長という役職で合計11年DHSに通われました。その間、毎日往復172kmの距離を車で往復です。何度も学校の近くに越すことを考えられたようですが、奥様のご勤務の関係もあり、そして、日本のように単身赴任という状況を好まれず、遂に、11年間通い通されました。行事のために学校に夜遅くまで残られることもしばしばで、周りの人々は、長距離運転を心配したのですが、ご本人は、苦にされなかったようです。

 Mr. Cawseyは、極めて穏やかで、いつもニコニコされています。毎日キャンパスの中を歩かれ、朝生徒が登校してくるバスを正門で迎え、帰りのバスが出るときにも見送りに出られます。生徒をとても大事にされる校長先生でした。

 生徒だけではなく、職員が企画した送別会においても、どの先生も、「校長室のドアは誰に対してもいつも開いていた」、つまり、先生が必要とする際には、校長先生は常に耳を傾ける用意があった、ということを述べ、感謝されていました。

 全校のアセンブリーでは、DHSのシニアの代表たち、そして、ICETの代表のスピーチがありました。ツバサ君とユリナさんが、ICETを代表してスピーチをしました。

スピーチをした生徒たち

 二人のスピーチは、明瞭な発音とわかりやすいしっかりとした声で、とても立派なものでした。スピーチはいくつかあったのですが、他のどのスピーチにも引けをとらない良いものでした。

 担任のMr. Kolokossianは、そのできばえを見て、「鳥肌が立つほどに上手だった」と言われていました。
 
 Mr. Cawseyの前任校は、DHSに移動された最初の印象をこんなふうに述べられています。
 
 DHSの任務に就いた最初の日。ある女子生徒がやってきた。
 「Mr. Cawsey、明日は学校に15分遅れるのですが、許可を下さい。」
 15分遅れるくらいで、許可を得に来る? 
 「どうしてなのかな?」
 「明日は、馬の競争日で、朝の準備で両親を手伝わないといけないので、普段のバスに乗れません。次のバスは学校に来ないので、少し歩かなければならないので、始業に間にあいません」
 Mr. Cawseyは、こんな礼儀正しい生徒がいる。こんなふうに教頭先生に話しかけ、許可を求めてくる・・・  ああ、いい学校なんだ!と、とても驚かれたということです。
 その日から10年余、Mr. Casweyの「DHSは良い学校」という印象が変わることはなく、そして、この学校で教員生活最後の10余年を送れたことをとても幸せに思っている、ということでした。
 そして、ICETには、「ICETがDHSをとても豊かな学校にしている。ICETから、国際的になることの重要さを教えられたことにとても感謝している」と言われていました。
 12年生は、数日前に、校長先生との面談がありました。Mr. Cawseyの優しい笑顔と先生からいただいた多くのスピーチの中の「知恵」が彼らの心に刻み込まれていることでしょう。
 
 Mr. Cawseyも、ICETの、そして、ICETの生徒たちのたくさんの思い出を持って去っていかれることでしょう。 

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