Boundary 3
投稿日:2011年9月19日
留学生が最初に感じるboundary(壁)は、言葉です。
同じ言語でないために、そして、まだ、英語が不自由なく使える段階ではないために、そこで、「話しかける」という行為の前に壁がはだかります。少なくとも、そう感じられるようです。
ここで、話しかけることができない、という現象が起ります。その理由を尋ねると、とても興味深い答えが返ってきます。
「間違ったことを言うかもしれないから怖い」
「言葉は人を傷つけるから、自分が人を傷つけるかもしれないと思うと言葉が出なくなる」
「たどたどしい英語でなんて話しかけられてもおもしろくないだろうと思うから話しかけない。自分だって、日本語のわからない人からへんな日本語で話しかけられたら面倒」
「文化が違うから、自分が受け入れてもらえるかどうか不安」
「そういうことすべてが面倒」
実に、興味深い感じ方、認識の仕方です。
でも、これは、みな、物理的な壁ではなく、心の中に作られた虚像の壁、自分が自分に作ってしまっているboundary(限界)でしかないことは明白です。
問題は、このboundary(壁)をどう乗り切るか、です。
それをはじき飛ばすには、勇気が要ります。どういう勇気かというと、「バカに見えてもいいや」「失敗なんてたいしたことない」と思える気持ちです。
十代の青年が、そんなカッコ悪いことを自分に認められるはずがないですね(笑)
これに対応するのが、 ”Have it a go!” の精神です。これは、まさに、この呪縛を断ち切って、思い切ってやってみよう、というものです。
留学は、体験を拡げる時です。新しいことに取り囲まれ、新しい方法で、試してみることが成長を促します。それでも、日本から引きずってきたboundary(限界)は、なかなか断ち切れません。
”Have it a go!”は、留学当初から言われています。教室内にも掲げてあります。早速使用し、次々と新しい挑戦を試み続けている生徒もいます。
それができれば、生き生きとします。とても充実した楽しい毎日を送ることができます。
「勇気が必要」と悶々としている生徒もいます。
ここでいう挑戦は、行動だけを意味しているのではありません。
心を開く、目を開く、ということも意味します。心を開かなければ、知恵は入ってきません。目を開かなければ、新しい方法にも気付かないし、何かを自覚して自分のものとして心に取り入れることはできません。
心を開いてみて、新しい方法を試してみて、初めて、自分の世界が広がります。
でも、そこには、当然、失敗がつき物です。
なぜか? 今まで馴染みのない考え方、見方を取り入れるには、練習が要ります。知らないことをするのであれば、うまく行かなくて当然なのです。それまで慣れていない考え方を身に付けるには試行錯誤を求められます。
だからこそ、失敗は成功のもとになり、次には、もう少し知恵が働き、もっと懸命に考え、そして、少し成長した自分が出てきます。
でも、この失敗が怖いのですね・・・
この種の失敗は、いくらしてもいいものなのですが、十代も後半に入ると自意識がそうはさせじ、と持ち上がってきてしまい、そんな簡単に、「いいじゃないか、失敗しても。たいしたことはない。」とは思えなくなるのでしょう。
でも、挑戦と失敗の試行錯誤を続けないと、自分の世界のboundary(限界)はなかなか広がらないことになります。
留学に来た目的、最初に抱いた夢を叶えないで終わります。それで、いいはずがありません。人生、それでいいはずがありません。
Boundary(限界)を拡げられるのは、自分のみです。
自分がこれから生きる世界の広がりは無限であり、それに挑戦できるかどうかは、自分の考え方ひとつにかかっているのです。