DHSでの3年間

投稿日:2011年10月29日

 以下は、DHSの広報誌「Despatch(ニュース)」に昨日掲載された逸見弘明君の感想文の邦訳です。

       Davidson High Schoolでの三年間

 私のHSC最終日の前日、DHSの校長先生に依頼されて、この学校での私の過去三年間についての短い文章を学校新聞に投稿することになりました。学年末考査以来、HSCのための復習で多忙な日々を送っていたところ、少し息抜きをする良い機会になりました。HSCの模擬試験、HSC本番、日本での大学受験(これから)と重要な試験が相次ぎ、将来への不安を無数に抱えていた中、久々に過去の思い出に浸ることができました。

 5年、10年、50年経って、DHSでの生活を思い起こしたら、何を一番に思いだすのだろうかと想像してみたところ、答えは瞬時に出ました―――先生や他の生徒との毎日の授業です。

 オーストラリアとはありとあらゆる面で異なる日本の文化で生まれ育った私にとって、ここでの毎日の授業は、授業の勉強の内容に加えて、また別の新しい発見や学習の宝庫でした。現在の英語力がなかった留学の出だしの時点では、教室の中で起きている現象を把握することができず、オーストラリアの授業には規律というものは存在しないのかと驚いたものです―――挙手することもなく生徒は自由に発言し、先生より多く話す生徒までいます。しかし、次第に周りの生徒たちの発言を聞き取れるようになってくると、最初の印象はただの誤解でしかなかったのだと気付きました。生徒は積極的に授業に参加、貢献することによって授業を生徒主体で進めていたのです。DHSでは生徒の自主性や主体性は大いに歓迎され、奨励されているため、生徒は学習に対する関心を失うことなく努力とやる気をを維持することができます。生徒が学習の受け身になり、機械のように知識を詰め込む日本の教育システムの中にいたのでは得られなかった、貴重な経験になりました。

 このような学習環境は、DHSの素晴らしい教師陣の存在なしには有り得ません。私を受け持った先生方のすべてがいつでも喜んで私を支援をしてくださり、助けを求めた際に断られたことは一度もありませんでした。また、先生方の説明は非常に簡潔で分かりやすかったのも、私の学習の大きな助けになりました。DHSの先生方は、収入のためのただの仕事としてではなく、生きがいと情熱を持って教えているのだと心から感じられました。

 常に勤勉な私は、日本にいる頃に高い成績を維持していましたが、言葉も文化も異なるオーストラリアで以前のような成績を得られるようになるまでには相当な努力を要しました。英語が第一言語ではない私は、他の生徒の2倍、3倍以上も毎日勉強しなければなりませんでした。しかし、自分の努力だけではどうにもならないときも度々あり、その度に先生方の支援に救われました。DHSの先生方の援助なしには、良い成績を出すことも、自分自身の成長の過程を実感することもできなかったことでしょう。DHSでの三年間は、「やらされている」または「やらなければならない」ではなく、自分が「やりたい」と思って自主的に勉強をすることができました。

 このような理想的な学習環境での学習と成長の喜びの追求が可能となったDHSに、心から感謝しています。

                                                           逸見弘明

 非常に格調高い英文は、邦文とともに「生徒の声」の欄に掲載しますので、ぜひ、そちらもお読みになってください。「わずか3年の学習でここまでの英語が可能になるのか。英語がnativeの生徒であっても、ここまでの表現力を持つ生徒は少ない。」と、現地の先生が驚嘆されていました。

 弘明君は、HSCの全教科が学年1位もしくは2位。彼の学校からの推薦書には、オーストラリアのトップの大学の名前がずらりと並んでいます。

 彼自身が述べているように、人の2倍、3倍の努力を続けてこの結果に至ったことは、どのような賞賛にもあたいします。

 でも、弘明君をさらに輝かすものは、彼の周囲に対する姿勢です。彼は、去年、DHS全体の希望者に向けてランチタイムの日本語教室を始めました。第三言語として選択したイタリア語(この教科でも学年1位、彼は英語にくわえてイタリア語も流暢に話すようになっています)の先生の支援に応えるために、先生が必要とする協力を申し出たり、同学年の留学生や下級生が求める知識を惜しみなく分け与え、そうしたことに費やす時間をとても楽しんできました。学校が彼の貢献に特別賞を設定するほどに大きな貢献をしてきました。

 HSCが終了しましたので、その弘明君による帰国を6週間後に控えた10年生に向けてのTOEICの特訓が早速昨日から始まりました。彼は、日本の大学の受験前なのですが、10日ほどにわたって、放課後と週末に喜んでやりましょうと引き受けてくれました。

 今年1月の到着早々、10年生の生徒たちは、弘明君から語彙集をもらっています。「1年間でこれだけ勉強しておいたら、英語力は飛躍的にあがるよ」と、彼の1年目の体験をもとにして、弘明君が去年から今年にかけてのクリスマスの休暇中に作成したものです。1年通して、プラスαの学習を積んできた生徒がどれくらいいるかは少し疑問なのですが、でも、そうした貢献も弘明君からはありました。

 彼の貢献を思い出せばまだまだあるのですが、このへんでおしまいにします。こうした生徒による貢献は、先生たちのサポートに加え、さらに留学生に対するサポートの厚みを増すものです。ここでは、他の上級生には触れませんでしたが、いずれの上級生も、学校生活、社会生活の中のいろいろな側面で、直接また間接的に下級生を支えてきています。

 これは、2002年にICETの3年プログラムが設立されてからの伝統になっています。最初の卒業生が確立してくれた姿勢です。

 本当にありがたいことです。上級生の真摯な、そして、誠実で温かな姿勢に、感謝と敬意で頭が下がります。

 

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