卒業おめでとう(3)
投稿日:2011年12月9日
卒業生に送られたメッセージをご紹介します。式ではすべて英語ですが、ここでは英文を省略し、邦訳のみとします。
以下、クラス担任だったコロコシアン先生からです。
今年は、きみたちにとってチャレンジの年だった。でも、マーク・トゥエインが言ったように、「チャレンジは人生をおもしろいものにする。でも、それを克服することで、人生に意味が持てるようになるんだ」と。きみたちの何人かにとっては、挑戦は英語を学び上手になることだった。また別の人たちにとっては、たくさんの友だちを作ることだった。また別の何人かにとっては、今年を乗り切ること自体が挑戦だった。きみの挑戦が何であったにせよ、その挑戦を乗り越え、オーストラリアでのきみの時間が意味のあるものとなり、目的を果たすものになったことを祈っている。
きみたちにとって1年がどれほど大変なものかはボクには理解できないものなのだろうと思う。文化、言葉、人々がまったく違う国に住むことは、どんな勇敢な人であれ短い間ですらも自分を小さく感じさせてしまうものだから。それを1年するなんて、本当にすごい。これだけ長い時間別の国に暮らしたら、実際のところきみたちは別の人に変身する。その上、東日本を襲った地震と津波は、今年をさらに難しいものにした。祖国から遠く離れたところで、地面を飲み込んでいく破壊的なイメージを見て、きみたちがどのように感じたかをぼくは実際のところ想像できない。でも、きみたちが祖国を助けるために何かをしようと立ち上がったことは本当に心打たれるものだった。
きみたちのことを誇りに思う時が何度もあった。日本の地震のときに募金をしているきみたちはすごかった。エンリッチメント・デイやその他の文化交流の際には、参加者が十分楽しみながら学べるように真剣な努力を注いだ。デイビッドソンの生徒たちが文化や言語を学べるよう教え合った。地域の子供たちに日本語を教えるために週末の時間を返上した生徒たちもいた。きみたちは、そんな時、輝いていた。そんな自分を本当に誇りに思うべきだ。
毎年同じように、すべて100% バラ色であるわけではなく、時によっては、きみたちに失望したときもあった。たとえば、他の人たちの気持ちを考慮しないとき、「no」と言われたときにそれを受け止めるだけの分別がなかったとき、特定の注意をされた時など。
でも、それについて悪いと思わなくていい、なぜなら、ミスをしたことから学んで成長するというがICETのプログラムなのだから。今年きみたちが学んだことがあるなら、こんなことを学んでいて欲しい。きみたちは、自分のための欲を捨てた時には輝いた。でも、自分勝手なときには、そこから期待できるものは短時間のものでしかなかったはず。「私利私欲を持たない」ということは、自分を持たず、自分を犠牲にするということではないことを理解して欲しい。私利私欲を持たないということは、仲間を助け一緒に歩むことを可能にすること、自分も他の人たちも良い気持ちでいられること、そして、そのことが世界を良くするものである、ということであることを。
ここでの良い時間を、きみたちが触れた人々を、きみたちに触れた人々を、きみたちが積極的にしてきたすべてのことを、きみたちが克服してきたチャレンジを、間違いから学びきみたちの未来の挑戦のために蓄えてきたことを、1月にここに来た時の自分に戻るのではないことを、思い出して欲しい。きみたちが来た学校に、地域社会に、きみの国、そしてきみ自身に、そして、世界に違いをもたらす人として帰国していくのだということを。
最後に、サー・ウインストン・チャーチルの言葉を引用したい。「人間は、得るもので生計をたてる。与えることで人生を創る」
卒業おめでとう。きみたちのすばらしい未来を祈る。
ジャック・コロコシアン