卒業おめでとう (4)

投稿日:2011年12月9日

 以下は、ギャビン先生からのメッセージです。

ICETの1年プログラムを卒業する達成に漕ぎ着けたことに、まず、賛辞を送ります。

 外国の教育システムの中で外国の言葉で教育を受ける体験は、それまでに知っていたことからは遥かにかけ離れたものであり、決して容易ではなかったはずです。それがどのくらい大変なことかは、同じ体験を持つ人だけにしかわからないことです。それ故に、きみたちの勇気と努力の継続を称えます。その資質は、未来のこれからに、必ずきみたちの役に立つものとなるはずです。

 この地での時間の最後が来た今、ここでの達成が何を意味するのか、そして、なぜこの達成を一緒に目指してきたかを思い出してみたい。

 このプログラムの目的は、日本できみたちが受けてきた教育を入れ替えようとするものでは決してない。むしろ、1月に到着した時に持ってきたその基盤にして、異なるレベルでの学習や幅白い展望を付け加えるものです。

 英語力を付けるということは、ひとつの大きな目標であることは明白です。容易に得られるものではなく、現在ものにした流暢さは、それぞれの生徒のこの1年のやる気と時間をかけ、どれだけ英語をこの1年で使ってきたかを反映するものです。しかしながら、どの生徒も、1月にICETのプログラムに参加した時よりもずっと上手になっていることは確実です。—この姿勢と努力を日本に戻ってからも続けて欲しい—。今身に付けているものは、必死の努力をして得たものなのに、努力を継続しなければ簡単に消えていってしまうもの。維持するには、さらに磨いて発達していくことが要ります。教科書の英語ではなく、コミュニケーションができる英語を身に付けたきみたちには、未来にたくさんのドアを開けることができるはず。

 しかしながら、このプログラムのより根幹をなるゴールは、きみたちが自分を見つけていく過程を導き支援するというものです。自分が知っている物から離れた時、自分が快適でいられる環境からある程度長い期間離れた時には、いろいろな問題に直面します。あるものはそうたいしたものではなく、あるものは、自分が誰であるかを問わなければならないほどに複雑です。それは、ちょうど大人になりかけている道にあるきみたちの年齢では、ことさらのことです。

 どう反応するか、学習した戦術、築いた新しい人間関係、身につけた忍耐力、乗り越えた不安や恐怖、感じる幸せ、なんともいえない達成感などは、日本で両親と一緒に生活していたら、そして、がんがってやり抜いてきた自分がいなければ、決して持つことはできなかった体験です。それだけに、ICETに来ることを許してくださったご両親と、ICETに信頼を置いてくださって送り出してくださり、そして、帰国後に支援を続けてくださる日本の学校の校長先生や先生方に感謝すべきことです。

 きみたちがどのように、どれだけ成長してきたか、みんなの目に明らかなものもあります。きみときみをよく知る人に、明らかなものもあります。きみだけにしかわからないものもあるでしょう。でも、きみが変化して成長したことは、確実にわかります。

 学んだことをどのように使うのか?

それは、まさにきみ次第です。

 このプログラムのめざすところは、きみたちを世界市民にすることです。別の国で生きることができ学習できることです。ここにいる先生たちに、日本の先生たちやご両親に、きみたちには、それができることを証明しました。

 このことは、きみたちの未来を助けるだろうか。これもきみ次第です。

 5週間のヨーロッパの国々への旅を終えて戻ったばかりの私がきみたちに伝えることができるのは、見聞したことのすべてが、わたしたちは、世界秩序が大きく変わるところに今立っているということを確認するものだったということです。

 ここ何年もいろいろな場所でいろいろと違う職種の人々に伝えてきたのは、今まで見てきたような方法で、今まで知っていた方法で、秩序を受け止め、ビジネスをやり、国際関係を維持し、今のままどおりに続くと考えることはもうできない、ということです。

 今ほどに、この考えに確信をもって感じたことはありません。

 ICETの2011年の卒業生であり、大人になる日本の市民であるきみたちに私は言う。国際関係の根本においての力と金融のバランスが移行し、それが、日本を含むすべての国にインパクトがあるということを。

 すべての国の市民が、きみたちが今年身につけてきた能力を必要としています。認識、コミュニケーション能力(少なくとも2言語で)、慣用性、理解力、忍耐力、共感、他の人々を受容する気持ちと共存することを学ぶ能力、こうしたすべての能力が、日本でのしっかりとした教育の上にさらに積み上げられてきたものであり、きみたちのほとんどがそこに戻っていきます。日本に戻ったら、ここで学習したことを実践するように。ここで習び始めたことを無駄にしてしまわないように! 日本の友だちと、両親と、先生たちと分かち合って欲しい。きみたちが得た特別な成長の価値を理解してもらえるようきみたちがしっかりと説明し、一緒に未来に歩んでいくことはとても大事こと。

 きみたちが理解し、きみたちができることをきみたちの国が必要としているのは確かなこと。未来のどこかで、きみはそれに気付くようになるだろう。

 最後に、オーストラリアで過ごし、ここで出会った人々のことを思い出して欲しい。きみたちのここでの生活の大きな部分であるホストファミリーや私たちとのコンタクトをなくすことなく、日本でどんなふうにきみたちが歩んでいっているのか教えて欲しい。卒業するということは、きみたちがここにいる人たちの想いから離れるということではない。きみが望みさえすれば、私たちはいつもここから助けやアドバイスを送ることができる、ということを忘れないで欲しい。

 未来にどんな道を選んでも、きみたちの成功を祈っています。

           夢を追い、現実のものとせよ!!

                                                                                                エドワード・ギャビン

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