成長

投稿日:2012年3月3日

大変、嬉しいお便りをいただきました。

留学の成果に関しては、評価はいろいろに分かれます。それは、当たり前のことだろうと思います。

人がみな違うように、体験もまた違います。

同じプログラムに参加したら同じような体験をしているように一見、見えますが、形は同じ体験であっても、そこから得るものは、一人ひとりみな違います。 授業も同じです。先生の言葉は、それを聞き取る部分も、度合いも、解釈の仕方も、生徒一人ひとりによって違います。記憶となると、違いはさらに大きくなります。

留学に求めるものも生徒一人ひとり、保護者一人ひとりによって異なります。「成長」という言葉は頻繁に出てきますが、何を成長とするかはみな異なります。「英語力」と一言で言っても、どこまで伸びたいか、どこまで伸びるかは、入り口のレベルによっても違うでしょうし、意欲によっても、また、努力の傾注によっても違ってきます。成果の出方も必ずしも数値で出るとは限りません。みな、それぞれに違うからです。

普段そういうことはあまり意識にのぼりませんから、留学の成果としてみな一様のものを求めがちです。しかしながら、成果もその評価もみな違うということを念頭に置きながら、次のお便りを読んでいただければ幸いです。ここに公開するお許しを得ていますが、個人名は、私の判断で省略させていただきました。

「先生、昨年1年間本当にお世話になりました。

とても嬉しい報告をさせていただけることを感謝します。

まず、英語力ですが、TOIECが去年の留学前は280点だったのが、先日は、720点でした。

そればかりでなく、帰国して約3ヶ月弱になりますが、まだ一度も怒ることがありません。

また、留学前に比べて、妹を可愛がってくれるようになりましたし、私たちが何か一つしても「ありがとう」という感謝の言葉が 口から出るようになりました。

勉強も頑張っているようです。明日からのテストに向けて、先週から、始発(5時2分)の電車で登校しています。6時過ぎに学校について、約2時間ほど 授業が始まる前に勉強をしているようです。放課後も勉強し、うちに帰 ってきても勉強しております。

そして、そんな中でも、ちゃんとお手伝いもしてくれています。

これほどまでに成長して帰って来てくれるとは、想像もしていませんでした。かけがえのない1年を過ごしてきたんだと、今の様子から実感しております。

これも、愛情をたっぷり注いでくれたホストファミリーと、それを見守りご指導してくださった、ふさえ先生をはじめとするICETの先生方のおかげだと思っています。

本当に心から感謝しています。ありがとうございました。」

以上、ある保護者の方からいただきました。

私にとっては、この上なく嬉しいお便りであり、このプログラムがあって良かったなと思う瞬間です。ICETの先生たちもとても喜んでいます。

先日は、

「留学から戻ってきた生徒たちは、生きる力が強く、表現力も豊かであり、学ぶ意欲が旺盛だ」

と、ある日本の先生が言われていました。そして、生徒たちからも、「みんな、よく勉強している」という連絡を受けたばかりです。

どういう形であれ、1年間親元を離れ、異国の地でがんばった若者が成長していないはずはありません。実際に、その成長が目に見え、日本で支援していてくださった方々に喜んでいただけることは、1年を一緒に過ごしたわれわれにとりましては、これ以上の喜びはありません。

今留学中の生徒たちの励みになるだろうと、公表させていただきました。

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ユカさんは、合宿の3日目を返上し、ゾーンというこの地域の水泳大会にDHSの生徒たちと学校を代表して参加しました。

この日、他の生徒たちはまだ合宿だったので、バーンズ先生がユカさんに付き添ってプールに。

リレーを含め3種目に出場する予定だったのですが、なんと、当日になってから、次から次へと6種目に引っ張り出されたとのこと。私が応援に駆けつけた頃には、もう、くたくただったようです。写真からもそれが感じ取れます。

ユカさんのようにレースの合間に体調を整え、調整を万全に図りたい選手にとっては、まさに想定外のできごとだったに違いありません。ご苦労様、ユカちゃん。

でも、これがオーストラリアなのです。いろいろなところで、予定外、想定外が起こります。でも、それに柔軟に応えてくれたユカさんに、体育の先生は感謝されていました。

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マリアさんが到着しました。これで、2012年のICETの参加者全員がそろいました。

東日本大震災が起こった際、去年の生徒たちは、募金をしたり、現地の生徒たちとメッセージを作成して被災地に送ったり、こちらにいて役に立てることをいろいろと考えました。

私も何ができるかをいろいろと考えました。休暇中に日本でボランティア活動に参加することも考えました。しかしながら、最終的に落ち着いたのは、私たちが一番大事にしていること、そして、そのノウハウを持っているもの、つまり、ICETのプログラムを通じて、若者が将来国際舞台に踊り出るための土台作りを提供することではないかということでした。

去年の四月から動き始め、「あしなが育英会」のご賛同をいただき、そして、こちらでもいろいろな方々のご協力をいただき、実現の運びに至ったものです。「あしなが育英会」の活動でニューヨーク、パリ、ベイジンで募金活動に参加し、英語を学びたいと痛烈に思ったという彼女の願いとマッチしました。

彼女が特別扱いをされるというのではまったくありません。でも、他の28名と一緒に、将来、日本を築く、そして、他の文化との繋ぎ役となる良い人材になってくれることを願ってのことです。6週間遅れの出発になりましたが、昨日からICETの仲間入りをしました。

他の28名は、今日か、今日かと、マリアさんの到着を待っていました。そして、とてもとても温かく彼女を迎え入れてくれました。今年のICET生全員に感謝です。

 

 

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