Be yourself
投稿日:2012年3月8日
‘Be yourself’ という言葉があります。
「あなた自身でありなさい」
「あなたのあるがままでいなさい」
「自分なりに成長せよ」
「正真正銘の自分であれ」とでも訳せばいいのでしょうか。
こちらでは、”Thank you for being you.(あなたであってくれてありがとう)” という表現とともによく使われる言葉です。
子供たちのあるがままの姿、元々の性質、その子供のしたいこと、やりたい方法を大事にする文化だからこそ、この表現が生きるのかもしれません。
これを日本語で表現しようとすると、実に、ぎこちないものになってしまいます。本音と建前で分けられた日常生活を送る文化の中においては、生のまま、素のまま、自然のままよりも、形がきちんと整えられていることが大事であり、それがあって始めて、中に秘められたものに目が向けられるものだからかもしれません。
本音を出すのは、限られた人、限られた時だけ、という暗黙の了解があります。
留学してきた子供たちがこちらで感じるのは、「自由」です。
この自由には、自分を思うままに表現していい自由、形に入らなくていいという自由、行動の選択の自由、監視からの自由、たくさんの決まりごとからの自由、期待からの自由、建前からの自由など、いろいろな種類の自由です。その中でも、一番大きな意味を持つものは、自分でいていい自由です。
「自分になる」。
これが意外に難しいことなのです。自分でいていいということは、わがままであるということでは全くありません。
自分なりの美や本質を磨くことであり、自分の知識を増やし、自分の見解を構築し、社会の中で人々との良い関係を保ちながら、自分にしかない輝きを放つ人間になることです。
そのためには、人や自分を大事にし、責任ある生活を送り、様々なところでいろいろな努力を継続していくことが当たり前のこととして求められます。
それがあって始めて、「自分でいていい」のレベルに達することができます。
ICETの生徒たちには、これが求められます。
最初は右往左往します。”Be yourself” ”You can be yourself.”と言われても、なんのことかわからないからです。
でも、それが徐々にわかってくると、これほどに楽しいこと、これほどに嬉しいこと、これほどに幸せなことはないことが実感として感じられるようになってきます。
そうなると、子供たちの表情は自然に明るいものとなり、輝いてきます。
すでに実感し始めている子供たちもいます。
「自分」を得るために、人を蹴落とす方法を取る生徒もいます。それが間違いだと気付けば、良い学習となります。
「自分」が見えないまま、戸惑っている生徒もいます。
「自分」を出すことにまだためらいを感じている生徒もいます。
みんないろいろな過程を通ります。でも、「自分」をしっかりと感じることができ、「自分」を思う存分に発揮できるところに至ったら、そして、人々との交流において自然に「自分」を活かすことができるようになれば、この留学の目的のひとつは成就したことになりますでしょう。