ANZAC (アンザック)Day
投稿日:2012年4月5日
オーストラリアには、ANZAC Dayと呼ばれる日があります。
あさってから休暇に入り、その日までに、学校集会が開かれるチャンスがないからでしょうか、4月25日に先立って、今日、学校で、ANZAC Day Assemblyという集会が開かれました。
この日は、オーストラリア人にとっては、大きな意味があります。
1915年にイギリスがトルコを攻めました。英国連邦下にあるオーストラリアとニュージーランドは、協力するために遠くから兵を送りました。その戦争は極めて悲惨なもので、1万人を超える兵士たちが、トルコのガリポリで命を落とす結果となりました。
その兵士たちの勇気を称え、死を弔うことを目的として1921年にオーストラリアで設定された日です。
毎年この時期になると、オーストラリアからガリポリを訪れるためにツアーが組まれ、休暇を利用して旅行する高校生もかなりの数になります。
現在は、この日は、第1次世界大戦、第2次大戦、ベトナム戦争などオーストラリアが過去に参戦したすべての戦争で国のために命を捧げた人々の勇気を感謝し、オーストラリア国民として平和を祈願し、オーストラリア人としての誇りを確認する日となっています。
シドニーやメルボルンなど大きな都市では、戦争で活躍した人々やそれを称える人々の大行進が行われ、地方ではさまざまな催し物が実施されます。戦争記念館のあるキャンベラでは、大々的な式典があります。
オーストラリアの学校では、ANZAC Dayの前日に全生徒が参加して1分間の黙祷を捧げます。今日、DHSであった集会は、このためのものです。
この時期になると、多くの学校で、戦争に関しての勉強会が開かれます。歴史をひも解き、戦争が起こった世界背景やオーストラリアが参戦した理由などを学習します。国のために命を捧げた人々に感謝し、国を護ることの大切さを改めて認識し、愛国心を培う大切な時間だととらえています。
「愛国心」という言葉に極度に神経質になる日本とは大違いです。
戦争の悲劇を知り、平和の尊さを若者たちに訴える時です。実際に戦争に参加した元軍人や看護婦さんなどを学校に招待して、たくさんの写真や思い出の品を見ながら、戦争の実体験の話を聞いたりする機会を設けているところもあります。ハイスクールでは、戦争に関するエッセイ・コンテストやディベートなどを催すところもあります。
ガリポリで起こったことは、第一次大戦のことですが、オーストラリアでは、その頃の戦争体験者はもうほとんどが亡くなっています。ベトナム戦争はアメリカやその連合軍が強い非難を浴びるものだったので、ほとんど語られることはありません。それに引き換え、第2次大戦は連合軍の勝利だった戦争です。そして、その体験者もまだたくさん存命しています。だから、ANZAC Dayの催しの前後には、第2次大戦のことがたくさん語られます。
そこには、敵同士だった日本のことが当然のこととして出てきます。敵同士だったことを知らずに留学してきた生徒には、思いがけない事実にぶつかり、いろいろなことを考えるきっかけになります。
第二次大戦中に起こったことを振り返ると、日本とオーストラリアがこんなにも仲良しで、すばらしい友好関係をもっていることは、本当にありがたいことです。戦後に、ふたつの国の良い関係を築くために努力してくださったLionel Marsden(ライオネル・マーズデン)神父やTony Glynn(トニー・グリン)神父のような方々のほかにも、たくさんの民間の善意があったことは間違いありません。
人道的な勇気ある行動をした人々に出会ったり、お話を伺うような機会もよくあります。
そういう先人たちの献身的なご苦労があったからこそ、後に来た私たちや留学生たちは、この国で本当に大事にされます。
それに感謝し、心のつながる交流を深めていくことは、留学生に何よりも先に求められることです。
生徒たちが、その意識をもって毎日の生活に臨んでいてくれることを祈ります。
以上、昨日のものですが、公開のボタンを押さなかったようです。