War Horse
投稿日:2012年4月11日
War Horseという映画を観ました。
訳邦のタイトルは、「戦火の馬」。
感動的な映画でした。
舞台は、第一次大戦中直前のイギリスとドイツとの交戦が始まったフランス。ちょうど、留学している1年目の生徒たちが、Global Issuesという教科で学習していることであり、そして、キャンベラの戦争記念館には、映画に出てくるようなシーンの模型がたくさんあるので、物語の内容に対する感動のみならず、学習にも直接に結びついてくる内容でもありました。
馬の繊細な感性と美しさ、人間と動物の愛を軸に、富裕層の貧者に対する傲慢で尊大ないじめ、戦争の理不尽さ、戦争がもたらすいろいろな意味での荒廃、人道的な勇気、政治を超える一般の人々の人間愛など、スピールバーグ監督ならではの映画でした。
DVDが発売されたら、生徒たちにも早速と観て欲しい映画です。
第一次大戦にオーストラリアも遠くトルコにたくさんの兵を送ったことは先日お話しました。
多くの兵士たちがオーストラリアの田舎や農場から徴兵され、馬を一緒に連れていくよう命令されました。当時の戦場では、馬が大きな役目を果たしました。
戦争が終わり、オーストラリアに帰国できることになった兵士たちには、戦場以上に辛い試練が待っていました。戦場で彼らの友達であり、心の支えであり、命さえも何度も助けてくれた馬が、一緒に帰れないことになったのです。その唯一の理由は、「検疫」です。国がひとつの大陸であり、オーストラリアにしかない植物や動物がたくさんあるこの国は、検疫が極めて厳重です。
ヨーロッパからかつて病原菌が運ばれ、たくさんの先住民が亡くなったことも関係しているのかもしれません。
一旦、異国の地を踏んだ馬の帰国は許されなかったのです。
戦場に送られたことよりも、自分の馬と一緒に祖国に帰れなかったことをずっと悲しみ怨んだ兵士たちがたくさんいた、ということを何かの本で読んだことがありました。
「戦火の馬」を観ていて、そんなことが思い出されました。兵士たちの痛みとともに。