1年
投稿日:2012年5月30日
1年という時の流れは、長くもあり、短くもあります。
どの角度からどういう状態で見るかで、感じ方は正反対というほどに違います。
16歳で1年間外国で暮らすということは、ときめきに満ちたことでもあれば、とても辛いことでもありましょう。どちらにどの程度の度合いで傾くかは、生徒一人ひとりによってみな違います。
しっかりとした目的と目標があり、毎日の授業や生活に100%飛び込んでいる生徒の時間はとても早く過ぎていき、そして、本当に充実したものになります。
自分の居心地のよい領土を保ち、新しいことに挑戦しなければ、焦りと苛立ちの多いものと感じるでしょう。
自ら飛びこむのではなく、何かが起こることを待っていたら、時間が経つことはとても遅く感じられるでしょう。
語学の学習は、長期に渡ります。成果はなかなか見えてきません。周りから伸びたといわれても自分が感じなければ伸びたことにはなりません。
逆に、自分では良い感じで伸びていると感じているのに、テストなどというもので点数に表されるとガクッと来ることだってあります。
一生懸命がんばっていても、スランプに陥ることだってあります。
本当に大変なのです。1年の毎日を燃えて走るのは・・・
彼らはいつも叱咤激励され、お尻をたたかれます。怠けるな! がんばれ! スピードを落とすな! 遅刻するな! 集中せよ! もっと真面目に宿題せよ! もっと良い点数をテストで取れ! もっとホストと会話せよ! などなど。
ご苦労なことです。本当は、日本の家族から離れて外国で暮らしていることだけでも褒められていいはずなのに。
それだけでなく、彼らには、もうひとつ大きな課題があります。
留学して突然に与えられた「自由」です。「自主性を持つ」ということです。
しなければ罰があるからする、叱られるからやる、ではなく、自らが生徒としてやらなければならないことだからする、もっと成長したいからする、もっと能力を高めたいからする、留学を成功させるためにやる、両親に感謝し一生懸命勉強する、社会の役に立ちたいからする、という自分の気持ちから発する自主性を持った行動です。
やりなさいと言われたからやる、というものではなくて。
この自由とか自主性というのは、「責任」が重くのしかかります。この責任を理解して始めて自由の意味がわかるようになるのです。そして、この自由を味わうことになって、自分の殻を破り、初めて奥深くある自分と向き合うことにもなります。
1年は、そういう意味では長いです。