勉強への意欲

投稿日:2013年3月22日

今日は、金曜日。

オーストラリアの金曜日の午後は、みな、土・日の楽しい時間を前にして、なんとなく浮き浮きした気分になっています。仕事も学習もさっさと切り上げ、家族といろいろなことを計画して、思い切り週末の生活を楽しみます。

そんな午後に、ICETの数名の生徒たちが、先生を囲んで、一生懸命勉強していました。「数学」です。そこにいた生徒たちはどの子も、みんな数学が大嫌いと言い切っていた生徒たちです。できれば数学なんてしたくない。みんな小学校の高学年か中学校の頃に嫌いになり、いまだに、好きになれないという生徒たちです。

先生は、ウォーレス先生という日本人の方で、日本語と英語で教えてくださいます。京大の工学部を卒業され、たまたまDHSの近くにお住まいで、今年の初めから来ていただいています。先生にお願いしたのは、2つです。数学が嫌いだという生徒たちが「わかるように」そして、「数学が好きになるように」教えていただきたい、というものでした。

その数学嫌いな生徒たちが、真剣に放課後に数学の授業と練習に打ち込んでいるのです。すでに授業時間が終わっているのに、補習という形で延長。まったく強制ではありません。自由意志の自由参加です。先生も、おまけでやってくださっているのです。

この光景に、感動せずにいられましょうか。

一人の生徒は、その少し前に、ホストのママに遅くなる旨の電話をしていました。「わかるようになりたい」「とにかく、理解したいから補習を受けることにした」と言います。そういう意欲は、一体何によって駆り立てられるのでしょう?

理解したい、わかるようになりたい、というのは、勉学するひとつの大きな目的です。好きだから、関心があるから、よくできるからおもしろい、覚えることが楽しい、だから勉強したい、というのはよくわかりますが、嫌いなものをなんとか克服しようという気持ちと姿勢は、「偉い!」と誉めてあげたいです。

学校制度は、朝学校に行って、みんなで授業を受ける、試験でできばえを試されるという体制には、国が変わってもそう大きな相違はありませんが、特に日本国内であれば、ほぼ確実にみんなが似たような方式で小・中・高と過ごします。様々な事情がありましょうが、そうした体制に馴染まず、学校に来なくなる生徒もいます。2012年10月の文部省発表の数字では、小中学校で11万5千人弱。もう当たり前に受け入れられてしまっている数字ですが、オーストラリアの人々にとっては、信じられない極めて異様な数字です。

同じ授業を受けて、同じ試験を受けて、大きな隔たりが出、できる子、できない子という烙印を押されるのも当たり前になってしまっている社会風景です。いつからできないのか? やっていることがわからないところから、できなくなるのです。

わからないところをそのままにしておけば、ますますわからなくなります。数学が嫌いになった、わからないという生徒の場合、多くは、反比例、分数、図形などが出てきたときからと言います。その時に、わかるようにしておけばよかったと、後になってどれほど思ったことでしょう。

この「わかる」ということが、勉学のすべてに通じる基本です。どの教科も、わかるから楽しい、わかるからもっとやりたい、わかるから成績にもそれが出る。同じ授業時間を同じ教室で費やすのであれば、成績がいいにこしたことはありません。

そして、わかるから、楽しいのです。学ぶことが本当に楽しいことであるとわかれば、誰に強いられることもなく、誰に叱咤激励されなくても、自ら取り組むのです。自然にそちらにエネルギーが注入されるのです。

1年の留学後、日本の高校でTOEICの特訓を受け、940点を獲得した生徒がいます。その生徒は、留学中にTOEICで高い点数を目指すことを目標とし、暇さえあれば、単語と言い回しを覚えていました。その生徒には、その過程が、とても楽しかったのですね。

20日に卒業生総代としてスピーチをし、秋田教養大学を卒業した学生がいます。彼女は、留学中から、1日24時間では到底足りんとばかりに、様々な活動と勉学を押し込みました。彼女は、1日のすべての時間を楽しみ、大学に行ってからも1日40時間の活躍をしていました。それが楽しくて楽しくて仕方ないのですね。

ある生徒は、小論文が大嫌いでした。それが、何かのきっかけで自分の論旨を上手に展開するコツを掴み、それからは、自ら、練習問題を求めてくるようになり、目に見えて上手になっていきます。

 そこに共通してあるのは、「わかる」「楽しい」ということです。

 英語の学習もまったく同じことです。英語がわかる、通じる、という感動を味わえば味わうほど学習は楽しくなります。そのためには、日々、オーストラリアの人々との生活に飛び込んで体験することが最高に効果のある学習方法です。

その機会は、すべて生徒たちの手中にあります。

 

 

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