国立博物館
投稿日:2013年5月1日
オーストラリアの先住民は、アボリジナルです。
国立博物館は、古代から現代に至るまでこの国の歴史が見事に陳列されている大変興味深い場所で、私たちのグループは、主に先住民の文化について学習するためにこの博物館を訪れます。
アボリジナル文化は、オーストラリア大陸において4万年も前からその痕跡を残していますが、文字がないために、その伝承が限られているだけでなく、後日やってきた白人社会から劣等な人間として不等な扱いを受けてきました。しかしながら、現代になって、彼らの土地に対する知識は極めて高いものであったことが徐々にわかってきています。
中庭に大きなループが建立されています。これは、Rainbow Serpent(虹の蛇)の伝説を形にしたものですが、アボリジナルの文化では、このレインボー・サーペントがとても大きな意味を持っています。
元々は、水のさざなみに太陽の光があたると、まるで、何百、何千もの水蛇がスルスルと泳いでいるように見えることから名前がきたとも言われますが、土地、水、生命、豊饒など人間の生命に直接関係したものの象徴となり、しいては、創造主ともされています。
数々の伝説やストーリーが生まれた時代を「ドリーム・タイム」と総称して呼んでいます。
’Rainbow Serpent’ もそこから生まれてきた伝説・神話です。
アボリジナルの人々は、殺された人々も多く、住んでいた土地を追われました。近代になって白人男性との間に生まれた子どもたちは、みな母親から取り上げられ、里子に出されたり、協会や施設で養育されました。その時代、そして、その被害にあった人たちは、The Stolen Generation(奪われた世代)と呼ばれています。
長い間、オーストラリア政府は、そのことに対して謝罪しなかったのですが、2008年、時の首相ケビン・ラッド氏は、首相就任早々、謝罪しました。
その謝罪によって、アボリジナルの人々の社会的な地位はあらゆるところで改善を見せ始め、被害にあった人々に適切な賠償が行われるようになりました。
博物館で案内してくださったデボラさん(写真の左)もStolen Generationのお一人です。2歳の時にお母さんから引き離され、17歳の時に再会。デボラさんは、その運命を受け入れたものの、他にも子どもを奪われたお母さんは、とても生き難い人生を強いられたということです。
一言でアボリジナルといっても、200以上の言語地域に分かれて主に狩猟生活をしていましたが、ビクトリア州では、灌漑設備をつくり、うなぎの養殖をしていた跡が見つかっています。
4万年も続いた生活の知恵となった道具をいくつか紹介していただきました。
グループ毎に分かれ、与えられた道具が何でできているか、それに何が施してあるか、そして、用途は何であったかを考えます。
左の写真は、ブーメラングのように見えますが、これは、水の上を飛ばして魚をだますために使うもの。 水の上を飛ぶと鳥のように見えるので、魚がある方向に逃げたところをキャッチするという仕掛け。
右の紋様の入ったものは、内側が丸くなっているのですが、何にでも使える実用的な運び道具。裁縫箱、ハンドバッグ、穀物入れ、収穫した木の実入れ、と何でも入れて運べます。赤ちゃんの揺りかごにもなる便利なもの。