学習に表れる国の力
投稿日:2011年2月1日
The Ageというメルボルンで発行されている新聞に、「言語学習に関する全国共通のカリキュラムができあがりつつある」という記事が出ていました。
労働党が2008年に連邦政府の政権を担うようになってから、教育面でいくつか大きな変化が起こっています。ひとつは、各学校の「できばえ」をネット上で公開するようになったことです。生徒たちの成績をベースにした学校全体の成績、収支状況など、それ以前には、保護者には風評でしかわからなかった情報です。
この情報公開により、保護者が学校選びの材料を持つことは良いという評価がある一方、現場の先生たちは、生徒の人間的な成長よりも目で見える数字の成果を追わなければならない不当なプレッシャーに晒されることになりました。
もうひとつの大きな変化は、今まで州政府に任されていたカリキュラムを全国共通にしようというものです。そのうちの言語学習に関する指針がまとまったという記事が出ています。それによると、小学校の間に、300時間の英語以外の第二言語を学ぶことが求められています。
カリキュラムが真っ先に完了するのが、中国語とイタリア語。その理由は、このふたつの言語を選択する生徒の幅が一番大きいからだということです。次いで、アボリジナルの人々の言語とトレス海峡の島々に住む人々の言語を教えるための骨子の作成。それから、国が優先を置くインドネシア語、日本語、韓国語。その後、従来からオーストラリアの学校で最も教えられてきたフランス語とドイツ語、言語人口の多いスペイン語。
それができたら、アラビア語、近代ギリシャ語、ベトナム語の順番。この3言語は、オーストラリア国内において家庭内で最も多くの人々に使われている言語だということです。
さて、日本語。かつては、外国語学習の中では、最高の人気を占めていました。日本語を教えられる先生の数が需要に満たず、フランス語やドイツ語、イタリア語などの先生たちが即席の訓練を受けて、渋々と教壇に立たねばならないほどの熱狂ぶりでした。絶頂期は、20年から15年前にかけてでしょうか。それからは、下降するのみ。それと対照的に上向きに伸びてきているのが中国語です。
国の経済的な結びつき、将来性が大きく関係していることがよくわかります。日本語を教えなくなった学校が次々と増えてきています。日豪関係、豪中関係の変化、そして、時代の急速な移り変わりを感じざるをえない記事でした。
MacKillop Collegeでは、校長先生とMrs. Brady主催の夕食会がありました。ICETとの交流が再開したことを祝し、そして、生徒たちを預かってくださるホストファミリーに感謝し、4名の生徒たちを歓迎するための会でした。Mrs. Bradyが焼いてくださったラム肉。最上級のもので、ホストファミリーは大喜び。じゃがいものグラタンは、子どもたちに大人気でした。
Aaron校長先生は、「今年の成功間違いなし。今から予測できる」と、太鼓判を押してくださいました。
これで、MacKillopも無事スタート台に立ちました。私は、安心してシドニーに戻ります。