4つの領域

投稿日:2011年2月7日

 Gold Coastでのオリエンテーションの前半は、留学を豊かな時間にするために、成果をより高いものにするために、そして、何よりも豊かな自分自身、自分だけにしかない固有の存在の自分を創るために、4つの領域をバランス良く満たすことが大事ということについて、ディスカッションしました。

 その4つの領域というのは、留学だから、ということではなく、人生そのものを豊かにするために、どの年齢においても同様に役に立つものです。

 1つは、自分が帰属する場を作ること。そこに行けば心が休まる場。そこに行けば自分がその人たちのためにがんばろうと感じられる場。そこに行けば、自分を支えてくれる人がいる場。それは、日本の家族であり、ホストファミリーであり、学校であり、クラブであり、どこであっても、自分を取り囲む人々と良い人間関係が築かれているということです。

 2つめは、自信が持てる達成を得ること。大きな達成をいきなり目指すのではなく、また、大きな夢に今の自分を比較するのではなく、少しずつ、小さな達成を重ね、能力、技術、知識をつけていくこと。そして、その達成を認識し、必ず褒めること。

 3つめは、楽しい時間があること。自分の好きなこと、得意なこと、関心を持っていることをする時間。笑う時間。趣味を開拓する時間。それによって、心も体もやすらぐ時間。一人でもいい、仲間と一緒でもいい。

 4つめは、自分が自分の人生を創るための選択をする自由があること。この自由の行使は、学校にいる間は難しいことがたくさんあります。でも、そういいながらも、私たちは、1日の間に、たくさんの選択をしています。もっとも、選択していることに無意識であることが多いのですが・・・ その選択の総合的な結果、積み重ねの結果が、私たちを創るものとなっていきます。。

 この4つの領域と選択の理論の原型は、William Glasserのものですが、私が自分なりに解釈し、生徒たちと一緒に使っているものです。実際に、私たちが、普段の生活において、幸せと感じられ、満足に感じられ、そして、本当に自分の人生を生きていると感じられる時は、この4つの領域がバランスよく満たされ、そして、そこに、自分に対する正当な評価が生まれ、自己の夢や希望が叶えられている時であるように思えます。つまり、自分の人生を生きている、という実感がある時です。

 そこにこの理論が、そのまま生きているということが、生徒たちの日常の様子、精神性を見ていても、十分に頷けます。

 問題は、この4つの領域を満たすことがそう簡単ではないことです。なぜならば、それぞれの間で葛藤があるからです。たとえば、楽しい時間と自分の達成を積み上げる時間は、上手に選択し、優先順位を決めないと、相互にマイナスの影響が出てきます。だから、「選択」が大事になるわけです。自由を謳歌し過ぎれば、責任を怠り、人間関係にヒビが入り、さらには、自由を奪われることにもなりかねません。自己の達成も難しくなります。達成のみを目指せば、協調が乱れます。

 そうしたバランスを上手にとることは人生のアートであり、それを目指すことで、自分を成長させ、社会の中での自己の確立を図り、自分という独自の、そして、特有の存在を築いていくことができます。

 自分を褒めることの大切さを語ったところで、大粒の涙が出てくる場面がありました。「自分を自分が褒めてもいいんだ」ということが、とても新鮮だったようです。Gold Coastに留学している生徒たちのほとんどは、競争の原理が毎日の生活の中にあり、日々、勝負の結果に晒される状況にあります。そのために、「もっとがんばらなきゃ!」と、次の目標に自分を駆り立てなければならないことが特に強調されるのでしょう。それだけに、早く大人になると同時に、精神面のケアはことさらに大事なこととなってきます。

 後半は、personality typeを通して、自分に関してたくさんの発見をし、自分をよりよく理解し、周りの人々に対しての理解も深めることができる時間となりました。自分をより理解するこことで、周りの人々とのコミュニケーションや交流の方法をよりよいものにしていくことができますし、学習における自分の強み弱みを理解することで、より効果的な学習をすることができます。

 一生懸命に話を聴き、真剣にactivitiesに取り組み、そして、たくさんのことを互いに語る時間となりました。参加してくださった方々の熱意と真剣さと、そして、心を開いてくださったことに、心から感謝します。

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