祝い方はみな違う
投稿日:2014年4月18日
イースター(復活祭)は、暦の上では、毎年、違う時期にやってきます。
オーストラリアが従っているのは、Roman Catholicといわれるバチカンの元にあるカトリック教なので、春分後の最初の満月の次の日曜日が復活の日。
グレゴリオ暦に沿って、去年は4月1日。今年は、春分が3月21日。満月が4月15日。その後の最初の日曜日だから、4月20日。
復活祭の行事は、キリストが死した金曜日から始まります。今年は、今日からです。
興味深いのは、宗教的な行事に沿って、学校の学期の長さも決められるということです。
学校の1学期は、去年は、9週間、今年は、11週間。
でも、友人の話を聞くと、この時期がどれほどに大切な意味を持つものかがよくわかります。
友人のギリシャ人の家庭では、祝い方も時期も違います。東方教会に属すロシアやギリシャは、ユリウス暦を使い、その決め方や歴史などは、あまりにも複雑なので説明しきれないから質問しないでね、と言われたのですが、でも、その祝い方を教えてもらいました。
復活祭に至るその前の40日間の四旬節は、キリストの最後の40日間を思い出して過ごし時。この時期には、普段教会に通わない人々もたくさん聖体拝領(キリストの聖体を象徴するパンと霊の象徴のワインを神父から授けられること)を受けるために教会に行くそうです。
ギリシャ人は復活祭にそなえて断食し、動物製品は一切食べてはいけないことになっているそうです。
ミルク、チーズ、ヨーグルト、肉、魚、卵はダメ。野菜、くだもの、パン、米、パスタしかできず、それではとてもので、「できるだけ」ということで許されるそう。
以前にギリシャ人のホストファミリーにお世話になった生徒がいますが、断食があったということも、普段と食べ物が違ったということもなかったので、そうっと断行されていたのかもしれません。
断食をするのは、体を浄めるためだけでなく、他の人に親切にし、良いことができる自分になることを強く考え祈る時だといいます。
人のために自分を浄め磨くことを40日も続けるなんて、心底すごいことだと思います。
通常聖体拝領はキリストが復活した日曜の前の日の土曜日に受けるのですが、復活祭を迎える週は、ほとんど毎夜教会に行き、毎晩、キリストの最後の日々を思い出すのだそうです。
木曜日には、キリストの最後の晩餐、最後の食事のことを。
金曜日には、キリストの死に思いを馳せます。この時の教会での儀式は特に美しく、ギリシャ人にとってはとても特別な瞬間なのだそうです。
この日の夜の教会の中では、キリストが横たわっていることを想像するために、棺は花や甘い香のするハーブで飾られた棺が置かれ、棺の中には、キリストのイコン(東方教会が使うキリストの画像)が置かれています。
教会に入ったらすぐに棺にキスし、それから神父様の話を聞きます。その後棺は表に担ぎ出され、人々はそれに従います。棺は教会の周囲の通りを20分間くらい担がれ、人々もそれについて歩きます。一人一人がキャンドルを持ち、棺の後ろについていきます。教会に戻り、中に入る時は棺の下をくぐって入ります。人間が犯した罪を許してもらい、もう一度もっと良い方法でやり直す機会を与えてもらうことを願います。
次は土曜日の夜です。この日もとても特別な日です。なぜならば、キリストが死から復活して天国に行く日だからです。真夜中の12時寸前、教会の灯が全部消されます。真っ暗です。12時ちょうどに灯りがともされ、神父様が祝福の言葉を述べ、特別なキャンドルに灯がともされます。だれもがカラフルなキャンドルを持ち、神父様のキャンドルの灯をもらって自分のキャンドルに灯をつけます。「復活の続唱」という歌を歌います。夜中の2時頃に教会での儀式が終わって家に帰り、そこで断食が終了します。
翌日はイースター・サンデーです。これは家族の日です。おじいちゃん、おばあちゃん、いとこ、おばさん、おじさんなど親戚のみんなが集まってお祝いします。小さなこどものところには、イースター・バニーがやってきます。家族のみんながそれぞれに卵を与え合います。卵は新しい生命のシンボルだからです。
オーストラリアでは、3月末ともなれば、スーパーなどの店には、卵とウサギの形をしたチョコレートが山と積まれます。
私の友人の家では、お母さんが本物のタマゴを染めて茹で、昼食の時にタマゴでゲームをするそうです。ギリシャに特有の習慣で、タマゴをみんなで一緒に割り、タマゴの殻が破れなかった人が勝ちです。その年の幸運を担う人になるとのこと。
ギリシャ人にとっての復活祭は、もっと良い人になれるチャンスを得る時であり、家族と一緒になれる時だから、1年でも最も大事な時だということです。
復活祭初日の今日のシドニーは、すばらしい秋晴れ。たまたま英国のウイリアム王子ご夫妻がEaster Showに行かれ、その後にManly BeachにAbbot首相と一緒にサーフィンの試合を見物しにこられたということで、ニュース報道が盛り上がっています。
たまたまマンリービーチに行っている生徒たちもいるかもしれませんね。