Canberra 最終日
投稿日:2014年4月28日
留学中、最も神経が注がれるところは、生徒の安全です。
学習は、これが確保されてのことです。
ホストファミリーへの毎日の帰国時間、通学路での居場所のことなど、うるさく言われるのは、そこに少しでも危険な要素を入れないためです。
今回のような旅行は、さらに安全の確保が必要となります。運送、宿泊場所、活動内容など。
今年は、バスは、28人乗りのレンタカー。運転は、若い頃からカーレースが趣味のMr. Gavin。そして、食料や炊飯器などの運搬と、いざという時に簡単に動ける車が要るので、私の車。そこに、交替で数名という編成です。
さて、3日目にエンジンがかからなくなったバス。エンジンがかからないというのは、エンジンモーターの問題で、かからなくなった場合には、誰かに来てもらってすぐ直せるような類いの問題ではない、ということ。車のメカには、誰よりも詳しい方。私が口をはなむ余地などありません。
朝6時のギャビンさんの結論は、
「エンジンがかかれば、どこにも寄らずに、シドニーに帰る。かからなければ、次の手段を考える」
というものでした。
次の手段というのは、通常ならば、別のバスを頼むとかできるのですが、なんといっても週末。週末にはこの国は何も動きません。バス会社のオフィスもクローズです。
ということは? 公共の乗り物??!!
電車は朝の便が1日1本。今日は、間に合わない。
コーチバスは1時間に1本。ということは、宿舎からタクシーでバスターミナルに。シドニーは、バスターミナルからセントラル駅まで移動。そこから電車でチャツウッド駅に。そして、バスでDHSに。
荷物を持っての移動は、気が遠くなりそうです。あるいは、飛行機で。それでも、シドニーの空港からのおっちらこっちらの旅は、バスと同じこと。
キャンベラの旅の中で重要な意味を持つ戦争記念館にも行かれない。なんとか30分でもいいから寄れないかと嘆願すれば、「シドニーに帰るか、途中でさまようか、どちらを選ぶ?!」と迫られたら、答えはひとつです。一度、エンジンが止まったら、かからなくなってしまうかもしれないとのこと。それが、旅の途中で起こったら、手段がなくなり、それこそ途方に暮れてしまいます。
ということで、生徒たちには、その日は、どんな冒険が待っているかわからない日になりそう、だから、全面的な協力が必要と頼んだところ、いい返事をくれました。
そして、ギャビンさんがこの時間と指定された9時が来ました。エンジンは、一発でかかりました。
そうなると、行けないでがっかりしている生徒たちのことを思えば、たとえわずかな時間でもと、また、期待がもくもくと。
「帰りたいか、それとも、立ち往生したいか?」
ということで、そのままシドニーに戻ることになりました。最後、Mt. Ainslieからの眺望を眺めて、キャンベラでの時間は終わりました。
帰り道は、エンジンを一度も止める事なく、そして、バスをなだめなだめの運転だったのでしょう。4時間で来たところが5時間半かかりました。ほとんど休憩なしで。
案の定、バスは、レンタカーのところに戻り、エンジンを止めたら、もう、始動しなかったということ。ギャビンさんの心配は的中でした。
見てくれは新車のようにきれいなバスだったのですが、ヒヤヒヤものの1日となりました。
でも、ともかくも、荷物を引きずって移動するようなことにならず、みな、無事にDHSに戻れたことは、感謝感謝でした。
戦争記念館に行けなかったことは、本当に残念であり、生徒たちに申し訳ないことでした。
これで、4月の休暇は終わりました。
明日から2学期です。
1学期は、異文化の中で、自分の居場所を見付ける時。
2学期は、本格的な学習にとりかかる時です。授業もだんだんに難しくなってきます。たくさんの行事や活動も並んでいます。そのひとつひとつに全力で取り組むことで、自分の中に積み上げるものが大きくなります。
旅行中には、風邪をひいている人たちが何人かいましたが、治っているよう祈ります。
2学期も健康に留意して、みんなで力を合わせてがんばりましょう。