Christ Church

投稿日:2011年2月23日

 大きな自然災害が続いています。

 NZ(ニュージーランド)のChrist ChurchでM6.5の地震が発生しました。あのすばらしく美しい町が、崩壊してしまっている様子が24時間途切れることなく報道されています。NZは、オーストラリアの分身であるような感覚がこの国にはありますので、人事ではないのです。

 Queenslandの洪水の救助活動を終えたばかりのSES(各州の緊急救助隊)が早速にNZに派遣されました。日本からの救助隊に感謝しているメッセージも流れました。洪水の際には、友好国(アメリカや日本)からの援助がない、という非難めいた報道もありました。

 日本人の学生が閉じ込められ、連絡が取れないという報道もあります。学生を送り出し預かることに従事している者たちにとって、「安全」は絶対優先のことです。それが確認できない状態におかれた関係者の方々は、如何ばかりの思いをされてみえるのか、想像を絶します。

 一刻も早く、元気で救出されることを祈ります。

 こうした中で、唯一の救いは、政府も政治家もメディアも、政党や派閥や主義や価値観の違いを超えて、国民のためにみんなで一緒に何かできるか、何をすればいいのかを真剣に模索していることです。

 話は変わります。英語には、Honeymoon Periodという言葉があります。ハネムーンの時期は、お互いまだ未知の部分が多く、最高の自分を見て欲しいときです。慣れてくると、以前の自分、惰性の部分、本音や本質が徐々に出てきます。前者の上手に運んでいる時期をhoneymoon periodと呼びます。

 さて、留学は始まってちょうど1ヶ月が過ぎました。そして、このhonerymoon periodも終わったようです。

 当初、持っていた志や希望をそのまま持ち続け、ますます燃えている生徒。快適と楽しさのリズムに上手に乗って、新しい生活の中でスイスイ泳ぎ始めた生徒。すでに多くの活動に従事し始めた生徒。選択授業の内容がわからなくて悔しいながらも、それを克服しようと必死の努力をしている生徒。現地の友だちを作り、留学してきた醍醐味を味わっている生徒。

 その一方で、何のために留学してきたのか、再度自身にそれを問わなければならなくなってきている生徒。英語漬けの生活に辟易している生徒。関心が学習以外のところにあることが徐々に見えてきている生徒。自分の仲良しとの世界のみに執着している生徒。

 そうした違いが、そろそろ表面化してきています。留学の最初の関門は、着地の段階でした。今、迎えているのが、二つ目の関門です。

 どうして違いが起るのか。長年見てきた中で思うのは、次のようなことに拠ると思います。

 ひとつは、目的意識をしっかりと自分の中で作り上げて留学に臨んだのかどうかです。出てきた本音の部分での理由(ここは、最初は表には出てきません。本人も明確に意識していない部分かもしれません)が、「海外の生活に憧れていた」「今の生活から逃避したい」「(漠然と)英語が上手になったらいいな」というようなものだと、新しい生活での現実と自分の期待とのギャップの大きさに圧倒され、お手上げの状態になります。目標とするところがないわけですから、自分の中でやる気を起こしようがないのでしょう。

 この状態をフランス語でimpasse(インパス)と呼びますが、袋小路、どこにも抜けようのない状態です。

 しっかりと目標、目的意識を持って出てきた生徒は、自分の未来に向かって歩んでいくことができます。困難は挑戦となり、知らないことは新鮮な発見の場となり、失敗を学びの一部として自分に取り入れていくことができます。

 2つ目は、これまでの16年間に身につけている社会性です。いろいろな社会体験を踏んでいる子供、豊かな人間関係を周りに持っている子供は、新しい環境に置いても、柔軟に対処していく術を備えています。

 体験を積んでいない子供は、新しい出来事、方法、人々に出くわすたびに「壁」にぶつかります。ということは、留学生活は、「壁」だらけ、です。抜け出る策を持ち合わせていないので、どうしていいのかわからず、右往左往します。あるいは、立ち止まります。前にも後ろにも行けなくなります。ここでも、impasseの状態に陥ります。

 そこでどうするか? 日本で知っていた方法に執着します。そうなると、自分の世界を広げることもできず、周りでサポートしてくださるーストラリアの人々との間に確執が生じ、ますます自分の殻に閉じこもることになります。

 こうした現象は、環境がどこであっても同じように起ります。新しい環境に飛び込んだことにより、何を持っているか、何を持っていないかが、鮮明に出てきただけのことです。

 「留学の成功の80%は準備にある」というのは、このことなのです。どちらかでも1つを持っていたら、なんとか乗り越えていきます。でも、その両方を欠いた生徒は、これから大きな試練を乗り越えていかなければなりません。本人も大変でしょうが、それを支えるホストも、本当に大変なご苦労をいただくことになります。

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