「マレーシア航空機撃墜とエイズ」
投稿日:2014年9月1日
日経ビジネスオンラインに大変興味深い記事がありました。
國井修さんという方が書かれたものです。The Global Fund 「世界基金」の 世界エイズ・結核・マラリア対策基金戦略・投資・効果局長というポジションにおられ、国際協力の最前線で、危険と隣り合わせて活躍されてみえる方ということです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140827/270448/?n_cid=nbpnbo_mlp
会員でない方は、最初のページしかお読みいただけないかもしれませんので、少し、説明を加えます。
興味深い理由はいくつもあります。
世界中を飛び歩きながらこういうお仕事をされてみえる方があるということ。
ウクライナ上空で追撃された飛行機に乗る予定だったけれど、都合で別の便になったけれど、メルボルンであるエイズ国際会議に一緒に出席する医師や研究者たちが大勢命を落とされたこと。
エイズは、死なないで済む病気になってきているが、薬が高い、行き渡らない、エイズにかかっていても検査できないからわからない、などで、まだまだかかる人が多いこと。
現在でも1日4000人がエイズ関連で死亡。1日平均5800人が新たに感染。
男性同性愛者、性産業従事者、薬物使用者は、感染リスクが高い人々で、感染を予防するための鍵となる人たち(Key Population) となっているが、この人たちに対する社会の偏見が、予防を難しくしている
同性愛、性産業従事、薬物使用を犯罪として扱っていない国のほうが、扱っている国よりも感染率が低い。
最後は、メルボルンの美しさを称え、その昔そこで起こった白人による先住民の殺戮、その後の残酷な扱い方やヨーロッパから持ってきた感染病に苦しんだ人々に思いを馳せ、最後は、こんなふうに締めくくられています。
「考えてみると、今回のマレーシア機も民族/領土問題が複雑に絡み合い、差別、弾圧の歴史が繰り返されているクリミア問題が背景にある。
会議場近くのヤラ川に映る美しい夜景を眺めながら、この地で昔、虐殺と感染症に苦しめられたアボリジナルの姿と、差別と偏見の中で未だに苦しくHIV陽性者、そして、民族問題に巻き込まれて亡くなったMH17撃墜の犠牲者の姿が重なり合った。
歴史は繰り返すというが、その歴史を作るのも、変えるのも、我々人間である。歴史から学ぶ叡智を人間はもっていると信じたい。」
ICETの卒業生の中には、将来、国連で働きたいとか、外交官になりたいという夢を持っている若者達が何人もいます。たくさん勉強して、難関をくぐり、外交官になり、どんな仕事をするようになるのでしょう。。。
今、生徒たちは、MDGsの中身のひとつ、感染症についてリサーチしています。HIVもそのひとつ。そういう意味からも、この記事の中身は多いに参考になり、世界の動きも見え、たいへんにおもしろいものでした。生徒たちには、プリントアウトしたものを読んでもらいましょう。
情報だけの点が、いろいろな角度から様々なことに結びついて線になる学習ができます。