第二言語の学習4

投稿日:2014年10月6日

留学中、何をどのように学習するかで、結果は自ずから違ってきます。

ホストファミリーと暮らす日常の中で、また、現地の生徒と受ける授業で学べるものがたくさんあります。ICETが存在しない前の交換留学では、1日の授業のすべてが現地の学校の授業で、英語で教科の内容を学びます。そこで単語を覚え、言い回しを覚え、英語の使い方を学んでいくのですが、それは、留学当初は簡単ではありません。

現地の先生も、留学して来た生徒も本当に大変です。

海外からの留学生に特別な英語のレッスンが用意されているわけではないので、全部自力でやらなければなりません。一旦学校の中に入ってしまうと、外から応援できることは限られます。

1年が終わって帰国し、1年後日本で大学に進学し、教授から疎まれるほどに英語が上達していた生徒もいれば、1年間授業がわからないまま、そして、英語の習得もほとんど実りなく終わった生徒たちもいました。結果は、ピンからキリまで、その差は、あまりにも大きなものでした。

日本から高校生が留学できるような仕組みを作り、窓口として紹介するだけであったはずの私ですが、その後20年間も深入り(笑)するようになったのは、この最初の結果を目の当たりにしたからです。

これではいけない。これで、いいはずがない、と。

自力ですばらしい学習をした生徒も、英語力を系統だって育てるプログラムがあれば、さらに高度な進歩を遂げただろうし、自力では沈んでしまう生徒でも明白な進歩が見える結果を持って帰れるよう、それぞれの生徒にふさわしい最大の成果を生み出すにはどうすればいいのか。

それには、授業がわかるようになるための英語力を構築しなければならない! わかるようになるまで何ヶ月も、もしかしたら1年も座っているなんて、そんな時間のムダは許されない!

その答えを具現化したものがICETです。

それ以来、20年、さらにいいものにと、毎年改善を重ねてきました。ここ数年は、以前は11年生のレベルでやっていたAcademic Englishを10年生に導入し、より高度なものに挑戦しています。

日本では、ICETは面倒見がいいことで知られているのですが、実は、 この英語プログラムに本来の価値があるのです。サポートは、生徒たちが志気を維持し、留学生活全体が充実した楽しいものになるためです。そして、CAPDは、世界に向けた視野を広げ、世界市民として、また、将来のリーダーとして活躍できる人間作りの時間です。

ICETが、全オーストラリアの18歳以下の英語教育の模範となるものとしてNEASのQuality Assuranceを認可されたのは、このプログラム故です。

もう何年も前のことですが、ある時、こんなことがありました。

その生徒は、独りで留学する事を希望し、ある現地の学校に入りました。すべてのことがうまく運び、願い通りとても幸せな日々を送っていたのですが、4、5ヶ月経ってから、英語の学習の仕方についての相談がありました。「ホストでもクラスでも、とても幸せ。友達もたくさんいる。でも、このままでは、英語が本当に学べるとは思えなくなってきた。授業で受けていることは、なんとなくはわかるけれど、しっかりと掴めないから頭の上を過ぎていってしまう感じがする。クラスでディスカッションに加わりたいのに、ついていけない。アサインメントでいいものを提出したいと思っても、それをどうやって作成したらいいのかもわからないし、本当に内容の深いものを作るだけの英語力がない。先生に尋ねれば親切に助けてくださるけれど、あなたは留学生だから、そこまでがんばらなくてもいいのよと言われる。じきに英語力が付くと思っていたのに。。」

その生徒は、留学の始めから群を抜く高い英語力を備えていました。授業もある程度ついていっていたと思います。それでも、もっと深い理解と高度な参加を求めるこの生徒には、これでは満足できなかったのと同時に、このままでは、機能する言語として身につけることができないのではないかと考え始めたようです。

DHSでICETの英語の授業に数日試しに参加してみることになりました。

最初の日の最後に発した言葉は、極めて衝撃的でした。

「シナプスがつながった! 留学に来てから、初めて脳が動いた気がする! 言っていることが全部がわかるから、脳全体が反応する! Activitiesに意味を感じることができる!」

その時の喜びに満ちた感動の表情は、今でも鮮明に覚えています。

この生徒は、懸命に考えた結果、DHSの11年生に転入してきました。そこで、現地の学校の教科の他に、ICETの先生たちのESLの授業を履修し、1年半後秋田教養大学に進学したのですが、英語力の高さが賞賛の的となりました。

この生徒が賞賛される事は英語力だけでなく、そのモラールの高さです。ここでは、2つのことをご紹介しましょう。

お世話になったホストファミリーは、教会に通う事からその日が始まります。朝4時起き。一緒に行かなくてもいいと言われても、「ホストブラザーはまだ子ども。年上の自分が模範を示すことが大事」と毎朝4時に起き、教会に行き、そして、学校に行くという生活を続けました。大人でも、なかなかできることではありません。

もうひとつは、後輩に教える姿です。ある合宿で先輩後輩が一緒になったことがありました。教えて欲しいという後輩と長い時間を過ごしていました。ひとつのことを様々な方法で教えている様子です。そのセッションが終わり、数時間経ってから、また、そこに二人が向かい合う姿がありました。従来の教え方とは違う新しい教え方を考えてきていました。道具すらも工夫して。そして、しばらく経ってから、「わかった! 遂に理解できた!」と心から喜ぶ後輩の姿がありました。

理解することの喜びを本当にわかる若者だからこそ、できたことなのでしょう。

また、長くなりました。次に続けます。

明日からは、学校が始まります。最後の学期です。1日1日、1瞬、1瞬を大事にして欲しいですね。

 

 

 

 

コメントをどうぞ

お名前(必須)

メールアドレス(必須)

URL

ブログトップへ戻る