第二言語の学習5
投稿日:2014年10月7日
全員、元気で休暇から戻ってきました。
残り9週間、その1日、1瞬を大事に、過ごしましょう。
さて、第二言語のことについてたくさん書いてきました。これで最終回にしたいと思います。
英語の中にも、目的に合わせて、いろいろな種類があります。
例えば、 Communicative English と呼ばれるもの。
これは、意志伝達が文章でも口語でも成り立つための英語。日本でよく「生きた英語」「使える英語」と呼ばれるものは、主としてこのことなのではないかと思います。
Communicative Englishは、現地の生活に溶け込み、英語学習の授業で履修することを毎日の生活に応用していけば、比較的早いスピードで習得できます。
留学で出会うのは、みな高校生で日本語が母語として確立して生徒たちです。そのほとんどが、英語を日本語のフィルターを通して学び、文法も日本語の名前で覚えているために、日本語を英語から振り切るまでに時間がかかることが特徴です。
しかしながら、その一方で、情報も概念的知識も母語で確立しているので、そのことが当初は英語での理解も助け、習得を早めるという効用があります。実際、母語の日本語の力を高度に持っている生徒は、英語にも秀でます。
Academic Englishは、学問を可能とする英語とでも言えばいいでしょうか。いろいろな専門的な分野での知識を付けていくためには、媒体となる「英語」の技能を必要とします。
例えば、読む力を例に取りましょう。単語ひとつひとつを読んでいく読み方では、遅々として進みません。ましてや、それを日本語に置き換えているようなことでは、英語として機能していないことになります。読み流しができる、キーとなる語彙がわかる、主軸となるテーマを読み取る、それを裏付ける事実や詳細を識別する、おおよその推測ができる、事実なのか論説や意見なのかの区別がつく、意味をみつけるために文脈を使う、筋が追える、本文の中身の連続性を掴む、著者の言いたいことを汲み取るなどの力が必要です。
そのためには、言語レベルだけでなく、そのテクニックも身につける必要があります。
これは、一夜にしてできるものではありません。また、ある程度の英語力があったら自然にできるようになるというものでもありません。なぜならば、英語を母語としている学生でも、これが高度にできるようになるためには訓練を必要とします。訓練を積むことによって、技能が磨かれていきます。
ごくごく簡単な段階から徐々に複雑さを増していきます。英語の習得だけでなく、英語で学問をしていく生徒は、英語学習の最初から、きちんとした学習プログラムでまずしっかりと英語の力を付けることが極めて大事です。
まだ学術的な英語力を備えていない段階で、現地の生徒に混じって、教科を勉強しながら英語力を付けていくというやり方は、基本のない穴だらけな習得で、読む、聞く、書く、話す、の4分野をきちんと訓練されて学習していく方法とは、結果も時間も雲泥の差となります。習得のスピードも正確さもそして流暢さも桁はずれに違うものとなります。長期的に英語圏の国で勉学していく生徒は、特に最初にきちんとした習得を目指すことが致命的に大事です。
このことについて、トロント大学で、母語のほかに英語を学習する子どもたちの学習について研究を続けているジム・カミンズ教授は、BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)の言語は、英語を母語とする生徒たちに混じっていれば比較的早いスピードで身に付けることができる。しかしながら、英語による高度な学習を可能とするCALP(Cognitive Academic Language Proficiency)は、英語を母語とする生徒の中に混じっている場合、そして、発達した母語を持っている場合には、幼稚園児から高校生なら5年から7年かかり、母語がしっかりと発達していない場合には、7年から10年かかると指摘しています。
ICETの卒業生たちのその後を追いますと、1年間履修した生徒たちが、日本の大学で英語による講義を楽しむことができ、エッセイが問題なく書けるのは、ここで勉強したことのお陰だという報告がよく入ってきます。3年間履修した生徒たちは、英語圏の大学で英語を母語とする学生と競合できるだけでなく、極めて優秀な成績を修める事例が頻繁にあります。
その生徒たちは、カミンズ教授が観察している通常の年月を大幅に短縮していることを示しています。
そろそろICETの英語の先生たちが、こういう教え方、方法ならば、これだけの結果が出るという論文を発表すべき時に来ているのかもしれません。
何日にも渡って、長文のものを読んでくださってありがとうございました。
明日からは、また、学校行事、日々の生活の様子をお伝えします。