Essay Writing
投稿日:2014年10月20日
「エッセイ」という言葉は、たくさんの種類を含みます。
これを日本語に置き換えると、随筆、小論、評論、試論、随想、散文などなど、それぞれの目的によって、様々な言葉になります。
「随想」と聞いた時と、「評論」と聞いた時には、全く違う種類のものを頭に思い浮かべます。でも、英語だと、”essay” という一語で済んでします。文化や言語の違いのおもしろいところです。
もともとの語源は、ひとつのテーマを中心にいろいろな想いや考えをある程度自由に綴るessai=試しというフランス語の言葉からきたものです。
今、生徒たちは、英語のessayの書き方を今学期の始めからAcademic Writingのクラスで学習してきています。日本でも、大学受験のための小論の書き方は、その学習に多くの時間が費やされます。エッセイは、書くことが好きだからすぐに書けるというものではなく、良い物が書けるようになるためには、それなりの条件を満たす必要があります。
まずは、普段からいろいろなことに関心を持ち、知識を集めていることが大事です。
いろいろなことに疑問を持つことが、考えることの出発点になります。
いろいろな人と議論し、様々な考えや価値観とすり合わせてみることで、より自分の見解を明瞭にしていくことができます。
言語が英語であっても日本語であっても、 構成や書き方に関しては関連するものがあり、どちらかの言語で技術を磨けば、相互の力や技術を伸ばすことに役立ちます。つまるところ、どのように論旨を展開し、読者にわかるようにポイントを明瞭にし、裏付ける事実やデータを整理して提供し、自分の見解がどうであるかを伝えることができればいいわけです。
それを両方の言語で上手にできるようになるのであれば、申し分ありません。
一頃STAP細胞の論文のことで大きな騒動になっていた際に、大学院生でも学術的な論文が書けない人がたくさんいる、という記事がある新聞に載っていました。情報としてたくさんの知識を持つことと、知識を使って上手に論旨を組み立てていくことは、別の能力なのでしょう。
エッセイにまつわる生徒の感想をいくつかご紹介しましょう。
ひとつは、日本の大学に入った卒業生から届いたものです。
「この間、経済の授業でイギリスの大学教授のレッスンがあって、それについて、サマリー(まとめ)と自分の見解を書くエッセイ課題が出ました。周りの学生たちは、内容を聞き取るにも困っていたし、エッセイはどこからスタートしてどうやって書いていいのかもわからないと嘆いていたのに、僕は、まったく困らない。ああ、そうか、ICETで勉強したことは、このためだったんだ、と改めて理解できました。日本に帰国してから英語でエッセイなんて書くことがなかったし、受験のための英語勉強だけだったので、正直なところ、留学中に学んだ英語はなんだったんだろう、と思っていた時期もあったので、この瞬間は、本当に嬉しかったです。」
まったく同じようなコメントがアメリカのUCLA に進学した卒業生からも届きました。そこには、何千(間違いではなく千の単位で)という日本人学生が留学しているのだそうですが、語学学校にまず通わなければならない生徒がほとんど。そして、講義を聞いてもよくわからない、エッセイなどはまったく書き方を知らない。その中で、慌てる事無く、悠然と学習できる自分がありがたいというものでした。
もうひとつ。これは、Englishを得意とするオーストラリアの英語を母語とする大学生のコメントです。Nativeだからといってみんなが英語を得意とするわけではありません。この大学生は、高校での教科としての英語の成績が良かっただけでなく、言語を楽しみ、学習も、書くことも大好きな学生でした。たまたま縁あって、ある時ICETの生徒の英語学習をボテンティアでヘルプしてもらっていた際に、ICETの生徒たちがエッセイの書き方を教わっていることを知って、こんなことを言いました。
「エッ! ICETでは、こんなこと教えているの? 私は、ハイスクールでこんなこと教わらなかったから、大学に入って、書いたものを批判されながら、学んだのよ。こんなことを高校で学べるなんて、羨ましい!」と。
現地の学校でさえ教えていないこと、言い換えれば、nativeを対象とする授業だからこそ教えていないことを、ICETの生徒たちは、英語を第二言語とする留学生として、将来に必要な技術を学んでいる、ということになります。
日本語でも、英語でも、将来、学術的なものを発表する際には、エッセイがきちんと構築でき、世の中で一般に認められている形式に則って、自分の研究や見解を発表できることは、とても大事な要素となってきます。
先日、ある卒業生が大学で、モザンビークにおける国際支援と日本のODA支援の実態をリサーチし、その内容を英文のエッセイにまとめて提出したら99点を得たと知らせてくれました。送ってもらったエッセイは、学習したことをきちんと応用し、感動するほどに整然とした形でまとめられていました。
全員が全員、エッセイのエキスパートになるわけではありません。しかしながら、基礎をしっかりと身に付けておけば、いずれ、その知識と応用力は、必ず役に立ってきます。