留学の意味
投稿日:2010年8月5日
しばらくご無沙汰しました。
日本でたくさんの保護者の皆様とお会いすることができ、貴重な2週間となりました。1年間あるいは3年間子供を海外に出すということは、大変勇気を要することです。元気で安全であることはもとより、幸せな生活を送っているのだろうか、勉学に精を出しているのだろうか、留学の成果はどのようなものになるのだろうか、心配は絶えないことでしょう。だからこそ、子供のがんばっている姿は、親にとって、毎日の生きがいの糧であり、心踊る源泉となるのでしょう。
テープに映る様子や半期の成績表のコメントなどから、きっと、保護者の皆様はいろいろな意味で安心されたことと思います。帰国を待つ残りの半年が期待に満ちたものになることでしょう。
この間に、12年生はTrialと呼ばれるHSCの模擬試験を終了。大きな大きな山をひとつ超えました。ご苦労様。日本の大学を受験する生徒たちは、これからは、9月半ばから始まる受験に向けて全力疾走です。将来の大きな夢に向けて、大いに燃えてがんばることでしょう。
11年生も、みな元気です。ジンダバインというシドニーから車で6時間ほど離れたところへスキーの合宿に行った生徒。去年参加したから今年はいい、と学校に残った生徒。今週からはまた全員そろって、3学期の学習に本格的に取り組む時期になってきました。
10年生は、みな、元気いっぱいです。お母さん、お父さんの映ったビデオフィルムを食い入るように見ていました。もちろん、様々なコメントが飛び交ったことは、想像に難くないでしょう。その様子をまたビデオで収めておくべきでしたね。
日本から留学に出る学生は、高校生の数はもともと少ないのですが、大学生の数が激減しているということです。ビジネスマンもまた、かつては憧れだった海外赴任を希望する人が少なくなっているということ。そして、先日滞在中に、ハーバード大学に今年留学している韓国人は70数名、中国人は100人を超え、日本人はたった一人、嘆かわしいことである、というコメントをテレビで聞きました。日本の行く末を案じる声は、いたるところから聞かれます。
そんな中で、ICETの生徒たちは、高校生という若い年齢で海外に出ています。それも、1年間、あるいは、3年間、みっちりといろいろなことを勉強する体制の中にいます。このことは、彼らの将来に大きな可能性をもたらすものであることは言うまでもないでしょう。そして、彼らが活躍すれば、日本の国もその恩恵を受けます。
でも、それは、この1年間、または3年間にどれだけの努力を注ぐかにもかかっています。プログラムは存在しても、ただレールの上に乗っているだけでは、電車の中身は増えていきません。たくさんの良いものを詰め込むのは、生徒がする仕事です。電車はいろいろな道を通り、毎日、たくさんの駅に止まります。そこには、大勢の人たちがいて、暖かく迎えてくれ、いっぱいたからものが詰まった箱がたくさん置いてあります。遊んだり参加できる活動もたくさん用意されています。何を取り上げるかは、生徒の選択です。箱をあけ、中にあるものを電車の中に運び入れるには、時間と労力が要ります。何もしないという選択もあります。あるいは、ゴミしか拾わない選択もあります。ゴミだといわれても、です。
みな、それぞれです。でも、1年または3年の成果は、このひとつひとつの作業の積み重ねです。熱心に摘み取り、運び入れている生徒の電車は、たくさんのすばらしいもので詰まっていきます。そこからは、自然にキラキラした光が放たれてきます。
外資系の会社が増えていくだけでなく、日本の企業の中でも英語を公用語として会議などに取り入れる会社も出てくる時代となってきました。日本は、中国、台湾、韓国、ベトナム、シンガポールなど急速に台頭してくる国々と競合していかなければなりません。これらの国々の若者たちは、恐ろしくよく勉強するだけでなく、自分は国のために勉強するんだという気持ちを熱弁します。英語を日本語で勉強する日本の英語学習で育った日本人の英語は、なかなか伸びません。あまりにも物に恵まれすぎた国で育った日本の子ども達は、発展途上国の支援に目は行っても、今の日本がその瑞々しい力と発想を必要としていることになかなか結びつきません。
でも、そこで大きな意識改革ができた子供たちは、すばらしい活力を得るし、勉学がとても楽しいものとなります。勉学の向こうに、大きな人生の意義と生きがいを感じ取ることができるようになってくるからでしょう。
ここでの1年間、3年間を本当にすばらしい時間にして欲しいですね。