桜の季節

投稿日:2010年8月20日

 暦の上では、オーストラリアの春は9月から始まります。郊外の桜が8月半ばにしてすでに花を咲かせ、もうじきに散ってしまいそうです。

 ある生徒が、「桜の花が咲いていたのをみて、すごく感動した」と言いました。どんなふうに感動したのかと尋ねると、「桜を見て、日本のことを思い、そして、桜の命のはかなさを考えたら、何か、胸に来た」ということでした。

 桜は、私にもたくさんの想いを運んできてくれます。特に、こちらでは8月半ばですので、日本の終戦の日と結びつきます。私のブログに、宮島香苗さんが桜をイメージしたデザインをしばらく載せてくださったことがあります。新宿御苑の桜がきれいで、その時に、以前に私と話をしたときのことを思い出してデザインしてくださったものでした。

 オーストラリアには、アンザック・デイ(4月25日)というのがあります。第一次大戦でイギリスの連合軍としてオーストラリアとニュージーランドは、1万人を超す命をトルコで失いました。その人々の冥福を祈り、永遠の平和を願うために設けられたもので、オーストラリア全土で式典が行われます。マキロップに留学した生徒たちの中には、スワンヒルでの式典に参加し、特別な思いを抱いている生徒たちもいるはずです。

 デイビッドソンの生徒たちは、キャンベラでの式典に参加します。第二次大戦のことを考えると、私たちがそこに出席することがとても特別な意味を持ちます。日本人は私たちしかいません。私は毎年その式典に同じ服を着ます。黒地に桜が散っているもので、特攻隊の青年たちに思いを馳せるためです。香苗さんもこの式典に参加していますので、桜のデザインには、様々な感慨がこもっていました。

 今回のカードの言葉は、

~ Life ~

The Most precious gift of all.

                                                                                by Jennifer Black

「生きているからこそ、他の贈り物を受けることができる」「生きていたらすばらしいことを与えることができ、もらうこともできる」「命がなければ他は何も存在しない」「生まれてきてよかった」「生まれてからずっと、毎日が楽しい」「人生は喜びや悲しみももたらすけれど、その中の最高のギフトが命だ」「この命を授けてくれた親に感謝」といったコメントが生徒たちからありました。

 留学は、自分の存在、生き方といったことに本気に向き合う時間です。両親からいただいた命をどのように使えばいいのか、どうしたら、自分の命を最高の形で使うことができるのか。それは、偏に、どんな生き方をするのかにかかってきます。どんな日常生活を送ったら、自分にとっても、周りの人々にとっても、意味のある人生になっていくのか。そんなことをみんなが改めで真剣に考える機会があった2週間でした。

 庭先の桜を愛でるのもあと数日です。季節はまた別の思いを運んできてくれるのでしょう。

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