2学期
投稿日:2011年5月6日
2学期が始まりました。
1学期は、新しい国、新しい家族、新しい学校の中で、自分の居心地のよい場所を見つけ、確立する時期でした。ほとんどの生徒がその過程を上手に縫ってきたようです。とはいっても、その中には、いろいろな葛藤、心労、深慮があったことでしょう。
気を遣いすぎて逆に硬くなりすぎ、交流の機会、タイミングが上手に掴めず、絆を築くまでに時間がかかってしまった生徒もいます。
一人ひとり通る道は違っても、確実に言えることは、みな、がんばっている、ということです。ペースも感じ方もやり方もそれぞれに違っても、みな、一生懸命です。
16歳で外国に出て、自立の道を見つけていくということは、そう簡単なことではありません。ホストファミリーや先生など、周りの人々から限りない支援があっても、その支援が生徒の必要としていることと必ずしもマッチしないこともあり、お互いの努力が空回りをしてしまうことだってあります。ある生徒があるホストファミリーでとても上手く行ったら、次の生徒もうまく行くという保証はありません。みな、それぞれに違うからです。
毎日の試行錯誤の中で、生徒もホストも先生たちも、みな、いろいろなことを学んでいきます。その過程のすべてに無駄になるものは何もなく、やがて、それが、いろいろな面での「成長」という形で結ばれていきます。
1学期は、オーストラリアの授業形式に、そして、先生たちに慣れる時期でした。まだ、受け身で良かったときです。2学期は、本格的に学習に取りかかるときです。すべてのことに、qualityを注入することを考え始めるときです。自分が納得できる学習を自ら求め、自分の全部を投入する時です。わからなければ、わらかないで終らせるのではなく、わかるまでしつこく突っ込む時期です。
1学期は、英語を聞く耳を作る時でした。音をたくさん蓄える時でした。2学期は、それを徐々に使い始める時です。話す、書く、ということをできるだけしましょう。英語は、使えて初めて意味を持ちます。学習した、でも、使えないでは、学習したことにはなりません。
2学期は、使って、使って、使って、使って、使うことに慣れ、楽しさを覚える時です。
2学期早々の4月30日の土曜日。最初の土曜日本語学校がありました。
前日、旅から戻って学校に帰着した途端、明日は6人のうち4人試合で行かれなくなったという報告がありました。引き受けた以上は、最初からつまずくわけにはいきません。1時間も経たないうちに、ユリナさんから、「全員そろったから大丈夫」という報告を受けました。彼女の機動力と組織力に今度もまた感心しました。
10年生にとっては、旅行からシドニーに戻った早々です。よく出てくれました。その意気ごみを称えます。
この土曜学校に参加したコーメイ君が当日の様子を詳細に綴っています。記事は、すでにHPの「生徒の声」に掲載されています。いろいろな側面から観察している大変おもしろい考察です。ぜひ、ご一読ください。
そのコーメイ君に関して、すばらしいニュースがあります。
火曜日に、教科の先生、保護者、生徒との三者懇談がありました。そこでわかってきたことですが、コーメイ君は、4月に行われた前期の考査で、6教科全部において学年1位という結果を得ました。現地の生徒の頂上に立ったということです。彼のこの快挙を称えるには、どんな言葉でも十分ではないでしょう。
おめでとう、コーメイ君!!
謙虚な彼は、「嬉しいですね」と静かな笑みを浮かべていました。以前にもお話しましたが、コーメイ君は、同級生や下級生のための勉強会を開いています。「やはり、教えたことが僕にもとてもいい形で戻ってきたと思います。教えるためには100%確かでなくてはいけないでの、確かな知識を持つために勉強したことが自分の試験の結果にも出たんですね。」とコメントしていました。
また、大きな改善を見た生徒も、「コーメイ君の勉強会は、役立ちましたね。」とコメント。
また、旅行中キャンベラでも興味深い光景がありました。もう9時を過ぎて静かになっているユースのキッチンで、ノートを広げて熱心にペンを走らせている生徒がいました。何をしているのかと思ったら、「コーメイ先輩からもらった単語集の勉強をしています」というのです。毎晩しているのかと問うと、「そうです。この単語集は、レベルがあって、辞書に最初に出てくるもの、二番目に出てくるもの、というふうに、少しずつ難度があがっていくし、例題もたくさんあるので、とても役に立っています」という返事が戻ってきました。
コーメイ君が、後輩に力を付けてもらいたいと長い時間をかけて作った単語集がこうしてきちんと使われていることに嬉しさを感じると同時に、旅の中でもこうして毎晩時間を作っているということに、ここまでするかと痛く感心しました。
どんな2学期が展開されるのでしょう。楽しみです。