夢に向かって
投稿日:2011年7月15日
ドイツのワールド杯、なでしこニッポンがスエーデンを破り、アメリカとの決勝対決に進むことになりました。
オーストラリアでのニュース報道で解説者が言っていました。「今まで見たことのないチームの動きだ。日本の選手たちは、チームとしての動きをこれまで世界に存在しなかったレベルに引き上げた」と。
これ以上讃えようのない言葉に聞こえました。
地震、津波、原発事故の三重苦を抱えた日本。与党も野党も、政府も民間も、被災者も非被災者も、すべての人々が結束して復興にあたらなければならないこの時期に、サッカーの選手たちは、その結束を見事に成し遂げました。 どれほど、全国の人々に力を与える勝利だったことでしょう。
全国が、アメリカとの決勝戦に向けた瞬間を待っていることでしょう。
たまたま、文藝春秋の七月号に、逆境に強いニッポンとして、逆境を乗り越えて世界の勝者となった「東洋の魔女」の記事がありました。敗戦から立ち上がり、ようやく先進国としての仲間入りができるかどうかまでになってきた1964年の日本で開催された東京オリンピック。彼女たちのすさまじい戦いぶりと勝利は、それからの日本の発展の大きな弾みになったようです。
そして、その勝利に、日本全体が燃えました。
選手たちは、勝利を手にするまでには、通常では耐え難い試練を積み重ねてきました。だからこそ、
全国の人々に勇気と、希望と、感動と、夢を与えたのでしょう。
自分もできる、
夢を追おう、
どんな苦労もいとわない、
やろう、やってみよう、夢が叶うまで!
女子サッカーの勝利も、そんな勇気を全国の人々に与えているはずです。
同じ頃、京都大学が、山中教授が開発したiPS細胞の作製技術を他の国々に持って行かれてしまわないよう、ヨーロッパで特許を取得したというニュースがありました。iPS細胞は、人体の様々な組織や臓器の細胞になる能力があるので、未来におけるその使用メリットは、計り知れないものがあります。無限の発展性のある分野です。
その製作技術を盗み取られないひとつの予防線が張られたことになります。これも、京大と山中教授が世界の人々の体を治したい、というデッカイ夢を実現するためのひとつの過程です。
相撲界では、大関魁皇が、体をボロボロに痛めつけながらも、数々の記録を打ち立てています。
みな、それぞれに、自分の夢に向かい、そして、偉業を成し遂げている人たちです。
ICETの12年生は、これから、夢に向かって飛び立とうとしています。それぞれ、みな、大志を抱き、大きな夢を持っています。
これから生きる社会を、世界を、自分がどう変えたいのか、どう貢献したいのか、そして、自分はどんな人生を送りたいのか・・・・
たくさんの夢に満ちています。
Sir Ken Robinsonというイギリスの学者が、「人間が輝く時は、生来の能力とその人の情熱が合致した時だと言っています」。
生徒たちを見ていますと、本当にその通りだと思います。
情熱はどこから来るのか。
夢からです。
大志からです。
夢と大志があれば、人間は、どんな苦労も厭いません。苦労は、夢の実現の糧になります。挑戦は、夢に近づく一歩です。
12年生は、夢に向かって飛んでいきます。大学は、その夢に近づく一歩でしかありません。ひとつの目標地点でしかありません。大学にはいることが夢ではないのです。そのもっと先の先にある、大志が、そして、自分が本当にしたいことが夢なのです。
人間は、一生夢を追い続けます。なぜなら、夢の実現の形は、様々に違います。そして、ひとつの夢が達成すれば、また、新たなたくさんの夢が出てきます。
11年生、そして、10年生。
皆さんは、留学というすばらしい機会に恵まれています。長い人生の中でも、留学という期間は、本当に特別なものです。
遊ぶ時には、充分に遊んだらいい。羽を伸ばす時には充分に伸ばしたらいい。遊ぶことも人生の勉強。
でも、授業や宿題という形の勉学に向かう際は、そこに全神経、全エネルギーを注入することが大事です。若いときには、どんなことも吸収できます。若いからこそ、先入観なしに、柔軟にいろいろなことを取り込むことができます。
勉学を通して得ることは、すべてあなたの将来の夢を実現していくための多くの道具、多くの知恵、多くの選択肢を与えるものです。使える道具を蓄え、使いこなしていくことが、あなたの夢をさらに大きなものとしていくことでしょう。
10年生は、泣いても笑っても、オーストラリアでの生活は、あと5ヶ月です。
Comfort Zoneを飛び出て、ありとあらゆるチャンスを掴む挑戦を試みましょう。今できることを繰り返していてもつまらないでしょう。惰性で暮らさないこと。
できない、難しすぎると思うことを思い切ってしてみないと、新地は開けません。
3学期は、あなたの新たな挑戦の時期です。昨日使えなかった単語や文章が今日使えることも、新しい挑戦の結果。今まで話せなかった人に話しかけてみるのも、新しい挑戦。ディスカッションで自分の意見を言うのも挑戦。ホストに体当たりで会話を持ちかけるのも挑戦。自分ができるチャレンジは、日常の至るところにころがっているはずです。自分で探して挑戦しましょう。日々、いくつでも結構。
辛いことがあるのは、当たり前。そうでなければ、成長できないでしょう。
でも、挑戦すればするほど、チャレンジは怖くなくなる。なぜなら、あなたの世界が広がり、力が付き、そして、挑戦が楽しいものだとわかってくるから。1年前には、不可能だと思っていたことが、簡単にできるようになっているかもしれない。
だから、あなたが挑戦する内容も、徐々に大きな、そして、難しいものになっていくはず。それが、あなたが獲得する力で、あなたの資質となるものです。そして、もちろん、あなたの自信と誇りになるもの。
大志を抱き、夢に向かって、疾走しましょう!!!