大学合格おめでとう

投稿日:2010年10月2日

時々、思います。人生の中で一番大変なのは、高校生時代ではないか、と。

高校生は、責任を取れと言われても、実際には、まだ、物事を決める権限はほとんど持っていません。学校で履修する授業は、ほぼ強制であり、未成年だとして大人以上にルールで行動を拘束されます。その上に、大学受験という厳しい取締りのある関所を通らなければなりません。

留学している生徒たちには、関門がふたつあります。ひとつは、こちらの高等教育修了試験とも統一卒業試験とも呼ばれる試験です。州毎に名前が違うのですが、シドニーのあるNSW州では、HSC-Higher School Certificateという名前がついています。このHSCの試験の結果によって、どこの大学のどの学部で勉学ができる、ということが決まってきます。学問を真剣に捉えている若者は、この試験のために、11年生、12年生の間は、帰宅後、毎日5時間ほど勉強します。留学生は、それを第二言語の英語でするのですから、そのハードさは、相当なものだとご想像いただけますでしょう。でも、そこに特別配慮があるのです。

ICETの生徒のためには、JBS(Japanese for Background Speakers) という科目と、ESL (English as a Second Language) という科目が、他の教科と並んで特別に用意されています。このふたつの教科は、両方とも幸いなことに、HSCの試験対象科目として教育省のリストの中に入っています。

若いこの年齢は、母国語の日本語をまだ発達させている最中です。3年も日本語を使わなければ、発達を止めてしまうどころか、日本語は急速に衰えていきます。JBSは、日本語で論理的な思考をまとめ、しっかりと意見を表現することを訓練する教科です。ESLは、現地の生徒が幼稚園のときから勉強している言語学習の中に飛び込ませるのではなく、英語を第二言語として、でも、第一言語同様に社会の中で、あるいは、学習において機能させることができる言語にするための学習です。Englishを機能的に習い、生きた言語として使える道具に仕立て上げる授業です。

この2つの教科で、HSCの40%を占めます。あとの60%は、NSW州の教育省が定める105教科の中から選びます。必修は、English (ESL) のみで、あとは、全教科が選択科目です。

でも、言語はあくまでも道具でしかありません。その道具を上手に使うためには、人間の中身が大事です。情報や知恵や価値観や道徳やそういうものを包み込む人間性の成長を促すのが、他の教科であり、そして、CAPDです。そして、ICETの生徒の心を育む安全で暖かな環境です。

HSCは、人生の大きな関門です。日本の大学受験も狭き門です。9月半ばに日本で受験した2名は、既に、そのプレッシャーを見事に跳ね除けました。

自然が大好き。地球環境を守りたい。法と組み合わせないと保全は難しい、だから、環境と法律を一緒に勉学し、将来は、身につけた高い英語力を活かし、Environment Management Officerとして地球全体に貢献したいという莉甫さん。上智大学の法学部地球環境法学部に合格しました。

捕鯨問題で日本とオーストラリアが揺れに揺れた1年。両国におけるメディアの報道の仕方に関心を持ち、その主張が微妙にずれていることことが解決を遅らせているのではないか、とジャーナリズムや国際法に関心をもち始めた由紀さん。そこに自分の将来の活躍の場があると魅力を感じ、国際基督教大学に合格しました。

莉甫さん、由紀さん、おめでとう!!

これで安心してHSCに向かえますね。

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