ホロコースト記念館訪問の記 (3)
投稿日:2011年9月5日
ホロコースト記念館を訪れて(2011.8.27)
今回のホロコースト記念館は2回目の訪館になります。
初めて訪れたのは、3年前。息子がオーストラリアに留学中にやはり英語科の保護者を誘ってここに来ました。その時のショックは今でも鮮明に覚えています。展示を見終わった後、保護者の誰もが口を開くこともなく150万個のビーズのオブジェと蝶のステンドグラスをしばらく眺め続けていました。
何度訪れても「なぜ同じ人間なのに生きていていい人、そうでない人という線引きを、同じ人間が決めるのか」という疑問が沸き起こります。そして、それを助長しているのも「無関心」という態度で容認している人たちだということも。そして、「平和」とはとてもシンプルなことではないのでしょうか。「みんな同じ人間、同じ地球に住んでいる」ただ、それだけ。今までの悲惨な過去の犠牲を無駄にしないように…ここに来ると心静かに平和を願います。
壁一面のガラスに自由に飛ぶステンドグラスの蝶たち。太陽の光が優しく注がれる踊り場に置かれているビーズのオブジェにはホロコーストで亡くなった子どもたち150万人分の小さなビーズがつめられています。小さなビーズ、大きなビーズ、きらきら光るビーズ、ハートの形をしたビーズ…そのビーズ1つ1つがホロコーストで亡くなった子どもたちの命。150万個1つ1つにそれぞれの子どもたちの生き方があったはず。なのに、展示の写真の中の子どもたちはみんな笑顔でした。ゲットーに収容されている時も、謂れの無い差別を受けている時も、自分の存在を確認しながら、自由を手に入れた時を夢見ながら、希望を持ち続けている笑顔でした。そして、すべての展示が終わって静かに階段を下りると
「アンネの悲劇的な死にただ同情するだけでなく、
平和をつくりだすために何かをする人になってください。」(オットー・フランク)
という言葉で締めくくられていました。
私に何ができるか…まずは、シンプルに生きて、いつでもいつまでも子どもたちと一緒に平和を語ろうと思います。そして、未来ある子どもたちの笑顔が絶えることのない地球に住めるように、無関心ではなく私はこう思うと言葉に出そうと思いました。
今度はぜひ子どもたちと一緒に訪れたいと思います。
谷本 典子