ミュージカルの祭典

投稿日:2011年9月12日

 Rock Einsteddfodという、このなんとも読みにくい言葉、ロック・エステッドフォドと発音します。

 「ロックの祭典」とでも訳せばいいのでしょうか。毎年、オーストラリアで多くのハイスクールが参加して行われる大きな催しがあります。各学校が1年間かけてミュージカルを用意し、互いに競い合うものです。2011年は、2万人を越える生徒が参加し、22箇所で大会が開催されたということなので、まさに、祭典です。

 名前の由来は、現在は大英帝国の一部となっているウエールズ州で、大英帝国の支配下になる前から行われていたという文化の祭典があり、それがエステッドフォドと呼ばれていたので、それに因んで付けられたようです。

プログラムの写真から

 このロックの祭典は、1980年に始めてシドニーに登場しました。それから32年経った現在、その規模は大きく膨れ上がり、クオリティも極めて高いものとなっています。中には、プロ顔負けのものもあります。

 参加する学校は、作品のテーマを選び、ダンスの振り付けをし、大道具・小道具を造り、衣装を作り、そして、それぞれの地方での大会を勝ち抜いて、最後の舞台までこぎつけます。

 シドニーのプレミアム部門の大会が9月9日に11,000人を収容できるエンターテインメント・センターで開催されました。

 DHSは、過去の歴史から、このプレミアム部門への参加シード権のようなものを持っています。今年は、ユキさんとユカさんの二人が参加していますので、ICETの生徒たち全員で応援にかけつけることにしました。

きらびやかな衣装の出演者たち

  いろいろなテーマがありました。10年生の生徒たちが授業でやった「ロミオとジュリエット」は、特に身近に感じたことでしょう。伝説上の話を取り上げたもの、クルード名探偵の事件解決、リア王と3人の娘たちの話、子供たちが大好きな物語の主人公たちを勢ぞろいさせたもの、などなど、本当に様々でした。

 リア王を扱った作品は、もう、すべての面において圧巻、高校生でここまでできるのかと舌を巻くものでした。ただただ魅入るばかり。

 DHSは、金融危機を取り上げ、それを通して犠牲になった人々、お金に狂う人々、富をむさぼる人々などを扱ったものでした。DHSは、時の社会的問題を諧謔的な視点で扱うものが今までもたくさんありました。

 今年の優勝校は、「グランヴィル列車事故」という1977年に死者83名を出したシドニー郊外で起った脱線事故を取り上げたMLCでした。テーマが非常にしっかりしたものだった、ということが審査員たちの理由だったようです。
 
 「リア王」は、2位でした。

DHSの名声を不動のものにしたMr. Peade。

 DHSは、頂点に立っていた時代が長く続いたのですが、いつの間にか、他の学校がすごい勢いでレベルをあげてきていることを感じた今年でした。

 このロックの祭典は、オーストラリアの若者たちがキャリアを積む良い体験の場で、これを通して、その後、本格的にダンスや演劇、エンターテインメントの世界にはいっていくケースがたくさんあるようです。
 多くの学校にすばらしいデザイナーやダンスの振付師がたくさん登場していることがよくわかります。そして、大道具や衣装にかけている金額も相当なものです。
 ICETの生徒たちは、放課後学校に残り、焼肉で牛丼まがいなものを作って早めの夕食とし、夜食のおにぎりを持っての参加でした。

2月からの練習が実を結びました

 
 日本でもRock Einsteddfodが始まっているようですが、シドニーのこの公演は、若者の柔らかい感性をいろいろな意味で刺激するものとなったことでしょう。
 真夜中の帰宅となりましたが、バスの中では、はなやいだ歌声が響いていました。 

 

 それだけ、心が踊るものがあったのだと思います。

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