留学から得るもの
投稿日:2010年10月18日
HSCが始まった10月15日。
東京で受験している阿沙奈さんに、関西学院大学人間福祉学部に合格という朗報が入りました。
阿沙奈さん、おめでとう!!! どんなに嬉しいことでしょう。
1月から始まるプログラムに、8月末からの途中参加で始まった阿沙奈さんの留学生活。異文化の中に飛び込むことから発生する困難だけでなく、すでに8ヶ月を過ごしている仲間の中に入ることが如何に大変かは、高校生でなくても想像に硬くないところです。
スワンヒルとシドニーという同じ国内でもまったく違う文化を持つふたつの町での留学を通して、いろいろな困難に遭遇するたびに、そして、たくさんの人々との出会いと交流を通して、阿沙奈さんは自分の内面や人々への理解を深めていきました。
社会に起っている複雑な問題を知るにつれ、人々の精神面でのケアをすることが将来自分が一番したいこと、そして、社会に貢献できることだという思いを募らせるようになり、どこでその勉学ができるかをいろいろ探し、至ったのが、関西学院大学の人間福祉学部でした。そこへの入学、本当に、本当におめでとう!!!
12年生に共通に言えることは、自分が歩みたい道を熱心に探求し、本当にそれが自分が求めるものなのか、自分に合っているものなのか、自分を燃えさせるものなのか、自分が生きたいと思う生活と合致するものなのか、自分の持つ価値観と合致するものなのか、ということを真剣に詰めていることです。
大学に入ることが目標ではなく、大学は、あくまでもそのずっと先に目指すものに至る過程であり、そこでは勉学することが当たり前と明確に捉えています。大学に進んだ後の先輩たちを見ると、学ぶことがどんなに大変であっても、そこに喜びを見出していることがわかります。必死で食いつく姿勢を見せます。学ぶことに情熱を持っているのです。
その熱意と姿勢は、私が何よりも誇りとするものです。
人間は、夢中になるものがあり、自らが目指すものがあれば、どんな努力でも注げます。
そして、ICETの卒業生の強みは、この若さにして、自分のアイデンティティを明確に掴んでいる、あるいは、掴み始めている、ということです。
ある時、Mr. Gavinが、生徒たちにこんなことを言われたことがあります。「人間は、自分がわかっていると怖くない」と。
とても謎めいた言葉なのですが、不安や恐怖は、外の世界にあるのではなく、自分の内にあるということなのでしょうか。私は、次のように捉えました。
人間は、停滞することなく、常に変わっていきます。その変わり行く自分(過去も現在も含め)と上手につきあいながら、外界の世界と接触し、そこからたくさんのものを得て、さらに自分を高めていく。自分をよく理解するということは、その過程が鮮明に見えるということではないのかと思います。それができて始めて、自分の未来も創り出していく勇気と自信を持てるのではないか、と。
簡単そうで簡単ではありません。実際のところは、周りの世界に反応したり、自分の本能的な感情に反応するために、自分がよく見えないことは多々あります。でも、自分が自分を見つめる目、理解があれば、すべての発信は、自分からになります。だからこそ、勇気が出るし、結果として自信も得るのでしょう。
ICETの生徒たちは、この「自分を理解する」ことに真剣に取り組みます。時には、逃げたくなり、時には目を伏せたくなり、そして、時には、自分を否定することさえあります。でも、そうした過程を続けることで、本当に深い理解に達していきます。
自分が理解できれば、人を理解する余裕も「理解」も増してきます。それを互いの理解につなげることにも長けていきます。何よりも、自分が人生に何を求めるのか、そして、どんな人生を築きたいのかが、授けられた命をどう社会に還元するのか、どうすれば責任のある市民になれるのか、といったことがよく見えてくるようになります。
留学中に培ったものを土台に、たくさん勉強し、さらに大きく成長し、日本の社会に、そして、世界に役立つ人間になってください。
HSCは、始まったばかりです。1ヶ月の長丁場ですが、健康に留意し、全力で取り組んでください。最後の最後までのがんばりは、その後に続く生活に、誇りと自信をもたらすものとなりましょう。