大学生
投稿日:2011年10月4日
La Trobe (ラ・トローブ)大学で勉強しているあゆみさんが訪ねてくれました。
ICETの卒業生です。
彼女は、「Environment Management and Ecology(環境管理と生態学)」を学んでいます。
キャンパスは、メルボルンとシドニーからちょうど真ん中ほどにあるAlbury/Wodongaという町にあります。Alburyは同じ町のビクトリア州サイド。Wodongaは、NSW州サイドです。同じ町なのに、ある線(boundary笑)を挟んで名前が違います。
シドニーまでは、夜行バスで9時間。休暇を利用して、シドニーに生物学の辞書を買いにきました。
希望したコースがこの町にしかなくそこに行ったものの、あまりにも都会の生活からかけ離れたものであるために、最初の年の終わりにはシドニーかメルボルンの大学の似たコースへの転校を考えようです。
でも、コースの内容が段々に面白くなり、また、小さなキャンパスゆえに教授と学生の距離がとても近く、それが学問をしていく上では大事な要素だと考えるようになりました。
学期の間は学問の邪魔になるような誘惑が一切なく、100% 学問の世界にのめりこめることが実は大きな利点であると理解し、卒業までそこで続けることに決めました。
オーストラリアの大学は、単位を取るためには真剣な学習が必要であり、単位が取れないと進学できません。その厳しさは、日本の大学とは比較になりません。とはいえ、日本の大学に進学した生徒が勉強していないというのではありません。ICETの卒業生からは、大学で、真剣に学問に励んでいるという便りがよく届きます。
要は、彼らが、何のために大学に行ったかをいうことをよくわかっているということでしょう。そして、本当に勉強したいものがある、ということです。
朝から晩まで勉強している様子を聞き、私もメキシコでそうだったことを思い出します。
私は、メキシコ自治大学の「外国人のための大学院」に留学しました。マヤとアステカの文化を学ぶためです。外国人の言語環境を考え、現地の学生よりも少し水準が低めだったのかもしれませんが、それでも、最初の年は、朝から晩まで勉強、勉強、ただひたすら勉強でした。
1冊の本を読めば、そこから何冊も読みたい本、読まなければならない本が出てきて、学ぶことに限りがないのです。食事をする時にすら本にしがみついていた記憶があります。でも、それができたのは、大変であっても学ぶことがとても楽しかったからです。
そして、今、留学中の子供たちに、「思い切り勉強しなさい」「今だからできる」「これ以上できないくらい必死になりなさい」「オーストラリアに戻ってくることはできても、16歳の今は二度と戻らない」とお尻をたたくのは、学習することがとても楽しいことであるだけでなく、本当に一生懸命取り組むことで、その後に続くことへの自信が生まれることを実感して欲しいからです。
結果も大事ですが、それ以上に大事なのは、「やれるだけやった」と胸を張れる過程です。
実際、留学の1年を一生懸命過ごした生徒は、留学の最後に、言葉に出せないほどの達成感を味わいます。そして、その達成感が次の学習の糧となっていきます。
あゆみさんは、今、遺伝子の研究をしています。特に、元の遺伝子のまま生物を保護するための勉強をしています。入学してから1年半経ち、今、勉強が興に乗ってきているようです。教授たちとの交流を通し、実験やフィールド・トリップをとても楽しんでいます。
世界から来る international Students(英語を母国語としない学生たち)のために、大学が、「上手な論文の書き方」という冊子を作成したい、ついては、「論文(エッセイ)が上手に書けるあなたに、どのように英語を勉強してきたのかみんなに説明して欲しい」と言われたあゆみさん。
言うまでもなく彼女の努力の賜物ですが、英語のプログラムを提供しているICETの先生たちにとっても嬉しいコメントです。
そんな彼女から後輩へのメッセージです。
「今やっている学習は、すべて身になること。だから、一生懸命勉強してください。そして、将来、環境や生態学を勉強したい人がいたら、フィールド学習の多いWodongaキャンパスはお勧めですヨ」
あゆみさんが大学で学んでみたいと思うことは、たくさんありました。いずれも興味津々で、どれを選んだらいいのか大分迷っていました。でも、特に関心があったのは、海洋学と環境学でした。
今、10年生がケアンズに旅行に行っています。
あゆみさんも数年前に行きました。
「あの旅では、本当にいろいろな植物や動物のことを知ることができた。
あの時は、ただ聞いているだけで、あまりの情報の多さに何がなんだかわからなかったけれど、今なら、たくさん質問もできるし、大学で勉強したことを話したり、環境についていろいろなディスカッションができるだろうに・・・と思いますね。
でも、あの時にいろいろな刺激を受けていたのでしょう。人間、何がどう影響するのかわかりませんね。」と笑っていました。
10年生も、楽しみながらも、いろいろな見聞を積んでいるといいですね。
将来自分がしたいと思うことは、どこかにころがっているかわかりません。