オバマ旋風
投稿日:2011年11月18日
まさに旋風のごとく、舞い降りて立ち去っったオバマ大統領。
この2日間は、オーストラリア中が彼の見事な演説に聞き入ったという感じでした。国会での演説、そして、ダーウィンの海軍施設での演説、どちらも、意味深く、そして、人々の心に届くメッセージの詰まったスピーチでした。
演説のテーマは、 「安全保障」「繁栄」そして、そこに棲む全部の人々の人たる尊厳が保てるための「人権の確保」を目指して、アメリカは、これから環太平洋地域で本腰を入れる、というものでした。
そのためには、問題は平和裏に解決し、自由貿易によって経済的繁栄をもたらし、そして、人々の人権を確保し守るために、大規模に戦略的に動く必要がある。
イラクやアフガニスタンにかかった軍事費を減らすことで、それを環太平洋地域の発展にまわす用意があり、TPPもその一環のものである、という壮大な構想を掲げるものでした。
メディアは、テレビもラジオも新聞も、オバマ大統領のスピーチの内容をどう解釈するかというトークショーでもちきりです。
「アメリカという戦闘機の片棒をかつぐのかオーストラリアは」という強烈な批判もあれば、これで、オーストラリアの安全保障は絶対的になるとするもの、ピンからキリまで様々です。オーストラリアとアメリカの60年間に及ぶ軍事同盟の絆の強さが確認できたことを肯定するのがおおむねの意見のようですが、中国に対する批判をどう受け止めるべきかというところに議論が集中しています。
中国と豪の友好関係にヒビが入るかもしれないと心配する人もいれば、いや、デモクラシーを掲げる国であればこそ、中国の人権問題には触れるべきだとする人もいます。
オーストラリアの方言をそこここに散りばめながら、壮大なビジョンを掲げるオバマ大統領のスピーチは、多くの人々を魅了したものの、彼の背後にあるアメリカの思惑という不安材料をオーストラリアの政治、外交に置き土産として残していきました。
オーストラリアのみならず、日本、中国、インドネシアをはじめ、環太平洋の全部の国に大きな影響のあることです。本当に支援しあう良い関係を築けるのか、それとも、アメリカの利益が優先するのか・・・
バリ島でASEAN会議が開かれます。アメリカ大統領としては初の参加とのこと。
TPPも含め、歴史は、確実に動いていきます。現在留学中の若者たちが社会で活躍する年齢になる頃の世界は、どのように変わっているのでしょう。