5つの愛の言葉

投稿日:2011年12月5日

 シドニー最後の週となりました。

 ホストファミリーとの最後の週末は、どんなものだったのでしょう。土曜日は、すばらしい晴天。日曜日は、お昼まではカラッと晴れ、午後は、雷。それぞれに、一緒の時間を大切に過ごしたことでしょう。

 今週は、行事がずらっと並んでいます。卒業式の準備と同時に、生徒たちにとっては、最後の最後まで、ゴー、ゴー、ゴーの状態が続きます。感慨に耽っている時間がないことは、むしろ、いいことなのでしょう。

 今日は、来年DHSに入学してくる6年生とその保護者にICETのプログラムを紹介する行事が入っています。今日DHSに来る生徒たちが、来年2月末あるいは3月の始めに、来年ICETに日本から来る生徒たちと一緒に2泊3日の合宿に行くことになる生徒たちです。

 その合宿は、彼らの中のチーム力を結束する目的と、彼らのメントー(上級生の世話役)になる10年生との絆を作るためのものです。日本からやってきたばかりの留学生であっても、早速と7年生の模範生となりメントーとなるわけです。

 今年の生徒たちもこの合宿に行きました。当時のことを思えば、今の成長ぶりに感動を覚えます。今年の生徒たちが、今日来る6年生にすばらしい印象を残すことができれば、来年留学してくる生徒たちとの交流をきっと楽しみにしてDHSに入学してくるでしょう。

 Gary Chapman(ガリー・チャップマン)の「5つの愛の言葉」という本があります。みなさんも、お読みになったことがおありかもしれません。あるいは、5つの愛の言葉についてお聞きになったことがおありかと思います。

 人間は、それぞれ、みな、愛の表現の仕方も、その受け止めかたも違うので、愛を伝え、受け止めるには、いろいろな方法があり、それをおおまかに5つの方法としてまとめたものです。

 ひとつひとつを留学と関連させながら、ご紹介していきたいと思います。

 最初は、言葉を使って、愛を表現するものです。

 「愛している」「好きよ」という直接的な表現がありますが、日本人は、この表現を使うことに照れくささを感じます。”I love you” という英語なら簡単に使えるのはとても不思議なことです。

 多くの留学生が、この言葉を毎日の生活の中で幾度となく耳にしています。朝出かける際にパパがママにそう行って玄関を出たり、電話の終わりにママが子供にそう伝えたり、友だちへのメッセージの最後に付け加えたり・・・

 ”I love you” という言葉だけでなく、愛の言葉には、いろいろなものがあります。相手を褒める言葉です。

 どんな小さなことでも、子供たちは、いや、大人も、褒められたら嬉しいものです。

 生徒たちは、こちらにいる間に、毎日、毎日、いろいろなことで、「よくやった」「上手にできた」「勇気を出したね」「すごいね」「こんな調子でいけば、すぐに伸びるよ」「がんばっているね」「うまくなったね」などなど、褒められたり、勇気付けられてきています。良いことをすれば、”Good girl!” とか、”Good boy!” と言われ、なんとなく、いい気持ちになります。

 生徒によっては、「あまりに褒められるので、悪いところを指摘してもらわないと落ち着かない」とまで言うほどに、なんでも褒められます。 

 叱られる前には、たいていの場合、まず、よいところを褒められてから、改善点を指摘されます。

 こちらの教育は、積み重ねることに視点があるので、肯定的な新しい積み重ねがあれば、それがどんなに小さなものでも褒める対象になります。

 期待値が先にあり、足りないものを指摘し、それを満たすことに視点がある日本の教育とはかなりの差があります。

 だからこそ、結果ではなく、姿勢が問われ、熱意と姿勢を持つ人間が大事にされ尊敬される所以なのでしょう。

 どうぞ、生活の様々な部分で、そして、学校生活についても、様々なところで、子どもたちを勇気付け、褒め、肯定的な言葉をかけてあげてください。

 叱るのではなく、くどくどと文句を言うのではなく、改善点があれば、まず、できているよいところを褒め、それから、改善点をどうすればいいのか、話し合っったら、子どもたちはとても前向きに反応することでしょう。

 留学生を終えた子供たちは、半分子供、半分大人の奇妙な位置にいます。

 子供として扱えば、子供のままでいます。そのほうが居心地がいいのかもしれません。

 大人として扱えば、それなりにふるまい、自立し、学習にも生活にもしっかりと責任を持ちます。

 一方、どんなに激励しても、勇気付けても、大人のふるまいとして期待されるには至らない生徒もいます。みな、それぞれの歴史があり、それぞれの性格があり、それぞれの考え方があるからでしょう。

 でも、そこで、大人が見失ってはならないことは、子供たちは、みな、それぞれに一生懸命なのだということです。大人からみたら、もっと努力できるはず、もっと力を入れるべきだ、もっと伸びるはずという面ははたくさんあるかもしれません。

 でも、子どもたちは、この時間は二度と戻ってこない時間、自分のベストを注入すべきだ、ということは、いやというほどわかっています。

 そうであれば、大人の目にどう映ろうと、あるいは、すでに大人として行動できている生徒たちの目にどう映ろうと、今のその瞬間が、その生徒のベストなのです。

 そのベストで得たものに、これからの勉学で、努力で、熱意で、さらにいろいろなものを築いていったらいいのでしょう。

 家族の中に、お互いに励ます言葉がたくさんあり、互いの生き方、考え方を肯定的に捉え支援する雰囲気があれば、そして、上手にいかないものは話し合って一緒に改善方法を考えていくことができれば、子ども達は、感謝の言葉を自然に出すことができ、さらにがんばる気持ちになり、そして、大人の仲間入りを果たすようになるのではないかと考えます。

 

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