皆既月食
投稿日:2011年12月11日
紅い月が空に輝きました。
不思議な光に、宇宙の神秘を感じる瞬間でした。
その月に、未来への願い、自分への誓いを飛ばした方々もたくさんおられるでしょう。人類の幸せを祈られた方もいらっしゃるでしょう。
宇宙ゴミをたくさん出してしまっている人間の身勝手さへの怒りと痛みを忘れ、この広大な宇宙の美しさと神秘さに呑みこまれていくようでした。
深遠な宇宙に見守られながら、人間は、今日もまた地球での営みを続けていきます。
1年間の、あるいは、3年間の留学を終え、そこで培ったものをその毎日の営みの中にどのように反映させていくか・・・
それが、子供たちの大きな課題です。
大きなエネルギーを抱えて帰国したことは間違いありません。あとは、そのエネルギーが健全に発散される環境と機会を見出せるかどうかです。
環境は、彼等だけではどうにもできません。親御さん、そして、学校と社会が作る環境が彼等が戻るところです。その環境は1年前と変わっていません。付加価値をつけてきたのは彼らです。
その付加価値をどう活かしていくのかは、彼らの仕事です。
日本の文化、日本の環境をありがたく想う心は養っています。でも、枠がたくさんある文化で自分を出し切れるかどうかは別物です。自分をそのまま出したら、ぶつかることはたくさんありますでしょう。でも、日本の文化に自分を合わせることを心がけたら、二重、三重の意味で、真の国際人に成長していくことでしょう。
留学の成果が問われるのは、帰国してからです。そこで、しっかりと対応できれば、オーストラリアで学んだことも活き、自分の柔軟な姿勢は、今後、どこの文化においても活きてきます。
でも、日本という国の中に納まりきらない場合だって出てくるかもしれません。
がんばれ、若者たち!
そして、保護者の皆様には、彼らが蓄えたエネルギーが健全に発揮できる環境づくりに大いにご協力いただければ幸いです。元の枠に戻るのではなく、元の枠から出ていても、そこへの出入りが柔軟にできることを求められることは、容易なことではありません。
保護者も皆様からも、枠にはまらない柔軟な姿勢での環境づくりが大事になってきます。Quality timeをできるだけ作り、時間と活動を共有し、親の期待の基準値をあてはめずにあるがままを観察し、良い物は褒め、肯定的なコメントを出し、足らないものは付け足す努力を促し、次へのステップを踏んでいくことが、こどもたちの健全な発展を促していくことでしょう。
成績表や今年1年、そして、さんご礁と熱帯雨林の旅の感想文など、親御さんとすぐにも共有できる材料も手元に持っています。
欠けた月は、地球からは見えなくなっても、光を失うように見えても、光の質を変えても、本来の姿を失うわけではなく、必ず、また、光る瞬間が巡ってきます。
人間も同じです。
この1年も、輝いている瞬間もあれば、静かに逡巡する時間もあり、将来への不安に押しつぶされそうになる時間もあれば、将来は明るい希望でしかない時間もあり、自分に失望する時間もあれば誇る時間もありました。
私たちは、全員がみなそんな時間をいろいろに経過しながら、また、次の目標、次の目的、次の希望にと向かっていきます。
闇があるからこそ光が輝き、輝いて燃焼するからこそ、闇の静かなたくわえの時間が要ります。
皆既月食は、そんなことを思い出させてくれました。