hugとkissの文化

投稿日:2011年12月12日

 1年ぶりの出会い、しっかりと抱き合われましたか?

 それとも、遠くから、微笑を送られていましたか?

 以前、オーストラリアから日本に留学していた生徒が、おもしろいことを言っていました。たまたま、これからオーストラリアに出発する日本人の生徒たちが空港に向かうバスに乗る場面を見てのこと。

 「あれが、オーストラリアなら、親子が抱き合って、キスし合って、なかなか離れられないのに、日本の人たちは、1年も逢えないというのに、手を振るだけ。ちょっと数時間、どこかに行ってくるだけのことみたいに・・・ 中には、涙を流していた人たちがいたけれど。とっても信じられない!」と。

 人間が身体を触れ合わせることは、人間関係の中で、とても大事な部分なのですが、これが、文化によって、とても違います。

 日本では、子供がある程度大きくなるまで添い寝をするのは、よくあることです。一方、オーストラリアでは、自分の小さなベッドに最初から離れて入れられます。

 それなのに・・・ なぜか

 日本では、中学生や高校生ともなれば、街中を一緒に歩くことはもちろん、ハグ(抱擁)したり、頬や額にキスしたりすることは、まず見られなくなります。一方、オーストラリアでは、ハイスクールの年齢の男の子がお母さんと一緒にショッピングに出たり、ハグしたり、互いにキスしたり、寝る前にキスしたり、とまったく当たり前に行われています。

 この違いは一体どこから来るものかと時々思いをめぐらすのですが、答えは出てきません。

 5つの愛の言葉のひとつは、この「身体的な触れあい」です。

 生活のいろいろな場面で、ちょっとしたふれあいを試してみてください。堅い空気を解くものになるかもしれませんし、身体的なふれあいが頻繁にあれば、険悪な空気を呼ぶこともないかもしれません。

 5つの愛の言葉の残るふたつは、子供への愛を何かしてあげるという自分の時間と気持ちを行動の中に出すこと。そして、もうひとつは、愛を受ける、受け止める、ということです。

 してあげるというのは、日本の親御さんたちは、それが過ぎるくらいに、子供たちのために尽くされることが多いように感じます。でも、尽くしすぎたら、決して子供のためにはなりません。子供は自分ですることを学ばないし、してもらうことが当たり前のこととなります。

 1年間の留学で、こちらで浮き彫りになることのひとつは、実はこれなのです。私は、「ざる底の心」と呼んでいます。私・ボクを見て、もっと頂戴、まだ足りない、という状態が続き、どんなにホストにいろいろしていただいても、友だちから尽くされても、先生たちから愛情を傾けられても、心が満たされないのです。もっともっとと要求を続けます。だから、心は、水がこぼれるザルみたいなものです。

 このザルの底をふさぐ行為、唯一の方法は、人に何かをしてあげる、ということです。自分が今までしていただいてきたことのひとつでも、自分が人にしてあげる、喜ばれる、感謝される、という逆の流れが心の中に感じられるようになると、頂戴、頂戴は、徐々になくなってきます。

 だからこそ、帰国してから、子供にいろいろなことをさせる、ということが、ますます重要な意味を帯びます。

 同時に、子供にしてあげる、子供にやってもらうよりも自分がしたほうがらく、自分がすることで愛情を示し心が満たされると感じられる場合には、一度、子供がしてくれることを思う存分受けられてみては如何でしょう。

 子どもたちは、いろいろなことができます。そして、してあげたいという気持ちをたくさん持っています。でも、その機会がなければ、してもらう、という状態に甘んじてしまうでしょう。

 親子でも、友だちでも、互恵関係であることが大事です。

 もう、親子ではなく、同じ線上に立つ人格、互いに独立した人格として見られ、扱われていい年齢です。特に留学した生徒たちは、年齢だけでなく、それだけの体験を積んでいます。

 子供として扱えば、彼らは、いつまでも子供として振舞うでしょう。大人のアドバイスを必要としても、もう一端の社会人としての責任あるふるまい、行動、親に甘えない行動をするのが当たり前です。それができる環境を親御さんに作っていただければありがたいことです。留学の成果もそこにより一層鮮明に出てくることと想います。

帰国の瞬間

 とてもいい写真を送っていただきました。

 1年間の留守の後、お父さん、お母さんにお会いするのに、そして、お家の敷居をまたぐのに、ネクタイをして正装したツカサ君。
 
 このきちんとした服装の中に、感謝の気持ち、そして、この1年間をどのような姿勢が過ごしたかが、見事に表れているように感じます。
 この1枚の写真は、感動すると同時に、私も改めて学ぶところが多いものでした。
 そして、この写真が、今年1年のこのプログラムの最後を飾るものであることがとても嬉しく幸せに感じられます。
 

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