褒める

投稿日:2012年3月14日

皆さんは、ご自分を褒めてみえますか?

褒める、褒められるということは、とても興味深い効果を持っています。

誰から見ても自信を持っていていいはずの生徒が、時折、「自信がない」という言葉を発します。

大人も、何かにつまずくと、再び闘志も燃やす代わりに、自信喪失の状態に陥ることがあります。そうなると、新しいことへの挑戦は難しく、自分を弱いものとして捉えてしまいがちになります。

そんな時、尋ねてみると、自分を褒めるということをしていないのですね。

どんなに一生懸命やっても、足りないのです。なぜ足りないかというと、その達成を認めるという大事な作業をしていないからです。

わかりやすいたとえでいけば、お寺や神社の100段の階段を登ることにしましょう。階段には、いばらがあり、崩れている石があり、折れた木が倒れているところがあります。自分の欲しいものは、階段のてっぺんのところにあります。

最初の10段を第一目標にしたとしましょう。

10段目に着いた時に、「やったー」「できたー」「すごいぞ!」と自分を褒める生徒。その生徒たちは、自分の達成を褒めた瞬間に、次の目標に向かう糧を得ます。途中に障害物があり、それを乗り越えた喜び、達成感はもっと大きくなり、20段目に到達した際には、さらに自分を褒めます。

褒めるたびに、糧となる気力は大きくなっていきます。それは、達成したことを認識した「自信」が伴ってくるからです。

逆に、次の20段目がすでに視野にあり、最初の10段を既に成し遂げたことはまったく無視する生徒がいます。多くの場合、それは達成ではなく、自分を褒めるには相当しないと考えるようです。達成は、100段目に届いた時なのです。問題は、100段目に達した際にも自分を褒めることはせず、自分の意識は、すでに200段目に行っているという同じ過程を繰り返すことになることを悟っていないことです。

この場合には、周りから見たらとてもよくやっているし、がんばっているし、本当に上手に進んでいるのに、本人のみが、「自信がない」と感じています。

自分の次の目標と比較して、あるいは、自分の未来像と比較して、今の達成は十分でないと感じるのでしょうね。だから、10段目から20段目を見上げると、10段目はまったく達成していないものに見え、20段目に行く気力を奮い立たせます。気持ちを奮い立たせること自体が大きな努力を必要とするものになります。

これを繰り返すと、苦労があっても、「自信」はいつまで経っても付いてきません。なぜなら、今の達成を認めない自分がいれば、未来が「今」の瞬間になったときも達成を認めない自分がいつも付きまとうからです。

これが、瞬時、短時間のことであれば問題ないのですが、心底に、この「自信がない」というものが巣くっていると、弾みを得ることが難しくなってきます。

最初は、ちょっとした感覚であっても、自信がないと感じると、自分の行動の中に、人々の行動の中に、自分が自信がない理由を無理やりにでも見つけ出し、結びつけ、そして、決定的な認識として、自分の心の中にその思いを住まわせてしまいます。でも、それでもがんばるから、「しんどい」のです。感じなくていい苦痛、苦労を背負い込んでしまうのでしょう。

自分の達成を素直に喜ぶことができなければ、人から褒められても、半分嬉しいものの、でも、それを素直に受け入れることができません。

この姿勢、考え方、認識の仕方を変えるには、その日の終わりに、今日、自分が一生懸命生きたこと、一生懸命にいろいろなことに臨んだこと、結果は自分の望むものでなかったとしても自分が真剣にアプローチしたこと、前日できなかったことができたこと、その自分を褒めることです。

未来の自分でもない、人と比べた自分でもない、今日の自分、今日生きた自分の時間を素直に肯定することです。

そして、明日の目標は、また、別に設定すればいいのです。まずは、今日の自分を褒めること。次の目標設定は、その後です。

褒めるということは、達成だけでなく、正しいことをしたことを肯定するためにも必要なことです。

正しいこと、善いことをしている時には、それが当たり前のことなので、それを改めて褒める、褒められるということはあまりありません。逆に、正しくないこと、善くないことをした際には、叱られ、罰せられることはしばしばです。

だからこそ、善いことをした際に褒め、称え、一緒に祝うことがとても大事です。 褒めることは差別になる、平等ではない、というような見方もあるようです。しかしながら、私は、達成も、勇気あることをした際も、がんばっていることも、当たり前のことが当たり前にできるいる時も、それを肯定し、褒めてあげることが大事だと考えます。

そうすることで、「自信」という次に進む糧が得られるようになると思います。

 

コメントをどうぞ

お名前(必須)

メールアドレス(必須)

URL

ブログトップへ戻る