Cross-culturalから得るもの
投稿日:2012年5月26日
5年生との交流は、Cross-cultural(日本語では異文化体験)の真髄に触れるものです。
本当に学習として捉えている子どもたちは、必死に英語での説明を試みます。5年生に一生懸命教えてあげようと思うからです。その過程の中で、伝統的な文化に関してだけでなく、自分の生活の周りのごくありふれたことさえもあまりよく知らないことに気が付きます。文化を説明するということは、意外に難しいものです。知らなければどうにもなりません。知っていても違う言語で説明することの難しさがあります。
こうした体験は、新しいものを得ることも多いにありますが、知らないことを知ることが次への学習のステップとなっていきます。
同時に、自国の文化、自分に対する認識を強める過程ともなります。それを感じるだけでも意味は大きく、そこから、その生徒たちの学習はさらに伸びていきます。
一方、5年生にとっても、異文化交流は極めて大事な意味を持ちます。
オーストラリアは、多文化の国ですので、一家の中にいくつもの違う文化の人々が混じっているいう例はたくさんあります。でも、多くの特にイギリス系の文化を受け継いできた人々にとっては、違う人種、違う言葉を話す人たちを見かけることはいくらでもあっても、実際に接触することは珍しいことです。
DHSの近隣は、イギリス系の人々が多く住んでいます。ホストファミリーは、日本からの若者を預かることで、毎日が異文化との接触の連続になります。5年生の生徒もほとんどが日本人とこれほど間近で接触したのは初めてのことでしょう。
みな、すばらしく楽しい日を過ごしていきました。それは、1日の中で子どもたちが見せた笑顔や熱意や好奇心から感じられるものですが、Enrichment Dayの担当の先生が、「5年生がとっても興奮して戻ってきた。みんな本当に楽しかったと喜んでいた」というコメントを下さったことで確認できます。
異文化との最初の接触がとても良いものであれば、子どもたちは、違う文化に対して偏見を持つことなく、むしろ、もっと知りたいという憧れを持つようになります。この1日から、日本が大好きという子どもたちが何人も出てくれば、この試みは、大きな成功です。
でも、こうした試みが上手に行くためには、見えないところでの多くの準備が必要です。日本食を作るためには、材料は限られた場所でしか手に入りませんし、今回のようにキッチンが使えないとなると、クッキングができなくても、食べ物を一緒に作れる体験の場を作り出すためには、下準備が要ります。
先生もICETの生徒たちも学習がびっちりと入っているので動けませんから、スー先生は、何度も打ち合わせをして飛び回ってくださったり、当日の焼きソバもお一人で事前に全部作ってくださいました。あとは、子どもたちが、焼きソバをパンにはさめるだけにしておくためです。
お箸を使って、焼きソバをお皿に盛り付ける競争も途中で入ったらしく、巻きすしやおにぎりを一緒に作ったりという、ひとつひとつの体験が楽しかった思い出として5年生の子どもたちの心に残ります。
「おはようございます」「こんにちは」という挨拶を日本語で覚えたり、椅子取りをした「おもちゃのチャチャチャ」のリズムが頭に入っているかもしれないし、ソーラン節の音楽と「ヤーレンソーランソーランソーランソーラン」という音は、きっと11歳の体のどこかに残ったことでしょう。