ROTE learning
投稿日:2012年7月25日
Rote learningという言葉があります。
この言葉は、西洋の学習方式に対するアジアの学習方式としてよく使われます。
Rote(ロート)方式は、ともかくも暗記。暗記に暗記を重ね、知識の蓄積を図ります。知識をどう応用するかということよりも、前例に沿って確実に積み重ねていくことに重きが置かれています。
一 方、西洋が重んじるのは、Critical Thinkingというものです。それは、暗記による知識の積み重ねよりも、むしろ、目的に合わせて目標を設定し、情報や知識を分析し、応用し、何が効果 的か、何が機能しないか、機能しなければ、どう改善すればいいのか、という問題解決を主にした学習方法です。
授業中は、そうした方式に基づくディスカッションガ’盛んに行われ、試験にも知識の応用問題、自分の意見の表明が求められます。
日 本、中国、インド、東南アジアの国々は、このRote learningを原則としています。だから、オーストラリアの教室に入ると、戸惑うこと仕切りです。まずは、そのうるささに閉校します。日本の教室のあ の静けさとはあまりにも対象的で、こんなことが許されていいのかとまで思うようです。でも、言葉がわかるようになってくると、そのうるさいのは、実は、授 業に関する考え方のやりとりであることが徐々にわかってきます。
こちらの教室では意見を求められます。日本人の子どもたちが、もっとも体を 緊張させる瞬間です。自分の考えをみんなの前で言う???!! それだけでもストレスレベルが一挙にあがるのに、それを英語で???!!! どうしよう、 どうしよう、と考えているうちに、他の人のところに回っていってしまったということは、頻繁にあることでしょう。
こうしたRoteかそうでないかの違いは、プレゼンテーションの中にも表れます。
今日は、たまたまGlobal Issuesという時間でプレセンテーションがあり、見学に行ってきました。
プ レゼンテーションのテーマは、他民族多文化のオーストラリアにはいろいろな国から移民してきているので、ひとつの国を選び、その国からの移民がどのように 起こり、その文化がオーストラリアの文化にどんな影響を与え、どんなふうに豊かにしているかをリサーチして発表するというものです。
フランス、ニュージーランド、スペイン、中国など、いろいろな国が出てきました。みな、ビジュアルは、パワーポイントを使用して印象的なものを用意していました。
私 にとって興味深いのは、プレゼンテーションが写真を見せることであり、そこに大きな比重が置かれる故に、聴衆に語りかけ聴衆とコミュニケーションを図るこ とがむしろ疎かになるということです。その最大の理由は、情報を読む、文字に書かれた情報を間違いなく言葉に置いていく、正確な英語を話すということの方 が、見ている人に意図を伝えわかってもらうということよりもずっと大きな重きを持っているからです。
それがテストの一部であれば、余計にEnglishに気を使うことでしょう。
昨 日は、CAPDの時間でプレゼンテーションがありました。それは日本語だったので、重きのあるところがまったく違いました。昨日のは、内容を深め、研究に 重きを置いた生徒はどちらかといえば少数で、大多数はクラスメートの目を意識し、彼らを喜ばせるための工夫を凝らすことに重きが置かれていました。
そ ちらは日本語だったので、おもしろおかしくということが自在にできます。今日のGlobal Issuesのは英語なので、生徒たちが重きを置いたところは、正確な英語を使うために文字の情報をそのまま口頭に移動することであり、そこに細心の注意 が払われたために、一番肝心の聴衆に伝える面が欠如してしまった例が多々あり、使う言語の違いで、ここまでプレゼンテーションの仕方が違うのかというの は、私にはとても興味深いことでした。
そして、言語学習の複雑さ、難しさを改めて認識した時間でもありました。