学習に責任を持つ

投稿日:2012年7月31日

「学習に責任を持つ」という言い方は、日本語ではあまりしないように思うのですが、どうでしょう?

日本で生徒たちがしなくてはならないことは、予習復習をする、宿題をする、授業で先生のおっしゃることを真剣に聞く、といった具体的な行動を指し示す表現が使われます。

こちらでは、”Be responsible for your own learning”という言葉ですべてが括られます。

自 分の学習は自分で責任取りなさい、ということなのですが、どういうことが含まれるかというと、授業に必要な用具を持ってくる、授業に遅れないように教室に 来る、宿題や提出物を締め切りまでに完了して出す、授業を熱心に聴く、先生の指示に従う、与えられた課題をきちんとこなす、グループ活動に従事する、質問 に答える、とこのへんまでは、日本とそれほど変わりないと思うのです。

もう少し高度になると、時間の管理、時間の配分、スポーツや地域社会での活動とのバランス、そして、学習に効果をあげるための学習方法といったことを考え実践することです。

日 本とかなり違うのは、わからないところはわからないと言う、定かでなければわかるまで先生に説明を求める、宿題や用具を忘れたら忘れたということを授業の 前に申し出る、意見を言うことでクラスに貢献する、ということになると、ちょっと日本のクラスの事情とは違ってきます。

日本は、黙って授業を受けていれば、そして、真剣にやっていれば、それで「よい生徒」になることができます。

こ ちらは、コミュニケーションを大事にし、前もって先生と連携を取る、考えを口に出して伝える、ということに極めて大きな比重が置かれます。だから、わから なければわからないのだと伝え、説明を求めることは、実は、学習の大事な部分です。これが日本人の生徒には、最初は、なかなかできません。すぐにこの方法 に慣れ、わからないことがあればすぐに質問ができるようになる生徒もいます。一方、そのまま放ってしまい、それが積み重なると、わからないことも積み重 なっていきます。

授業中の居眠りなどは論外。宿題をしてこなければ、ランチタイムや放課後に残されます。でも、これこれこういう理由ででき なかったというようなことを1時間でもいいから前もって伝えると、では、明日持っておいで、ということになります。完了するという責任を取る時間を強制さ れるのではなく、明日までという限定はあっても自由な時間を与えられます。

まあ、そんなに難しくはないはずのことが、実は、わずかな数の生 徒であっても、この「学習に責任を持つ」ということがなかなか難しい生徒たちがいます。どういう形で責任を持てなくなるかというと、宿題を忘れる、余計な おしゃべりが多い、先生の話を聴かない、指示に従わない、気を散らす、集中しない、英語を使わない、忘れ物をする、必要なものを持ってこない・・・

そこで、いろいろ考えるわけです。なぜ、こんな単純なことができないのだろうか、と。

ハタと思いつくのは、責任を取るということは、自分が選択したから責任を取れるのであり、自分が選択したことでないものは責任の取りようがないということです。自分が選んでいなければ、しなさいと言われることは指示や命令であり、必ずしも、自分が望むことではないからです。だから、責任を取れ、ということが該当しないのです。つまり、この言葉には、あまり意味がないのではないかということです。

でも、その一方で、留学してきたのは自分の意思であり、自分の選択です。その中には、学習する、英語力を高めるということは当然含まれていたはず。では、なぜ、そのための努力ができないのか?

誘惑は当然あります。それ以外に、意欲や向上心に燃えない理由は何なのか? もしかすると、留学を選んだ理由の中に、学習に励むとか英語力を高めるという目的はなかったのかもしれない・・・ だから、責任の取り様もない。そういうことなのか!

本 当に向上心を持つためには、形だけを追っても意味がありません。それは、心の中から沸き起こるものであり、頭で解決できるものではないからです。だから、 一生懸命勉強している生徒は、仮にそうしなければという義務感からであっても、学びたいという気持ちは多いにあるでしょう。もっと高いところに届きたいと いう気持ちもあるでしょう。成果を出したいという気持ちもあるでしょう。家族に喜んでもらえる結果を出したいという気持ちもあるでしょう。

気持ちがあるから、行動に移すことができます。気持ちがあるから、忍耐も続きます。集中することもできます。

3 学期は、本格的に学習に燃えるときです。「学習は自分の責任」という概念を、学びたいという気持ちにどう結びつけることができるか。ほとんどの生徒は、そ のつもりになっています。形に出ています。あとわずかの生徒たちが燃える学習心を持つことができるようになるかは、生徒にとっても、私たちにとっても課題 です。

 

 

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